iOS 15のカスタムプロダクトページと変化するUAマーケティング
Tiahn Wetzler, Director, Content & Insights, Adjust, 2021年8月12日.
2021年後半にリリースされるiOS 15のアップデートで、プロダクトページを最適化し(Product page optimization、以下PPOと称す)カスタマイズできる2つの新機能が発表される予定です。Apple社によると、これらの機能はアプリを特定のターゲットユーザーに見つけてもらいやすくし、個別のキャンペーンと連携可能なApp Storeのカスタムページを作成するものです。マーケターはiOSの有料UA戦略を構築するこの新しいツールを使用して、よりパーソナライズされたアプローチでターゲットユーザーにリーチできるようになります。
ページをテストして最適化し、オーガニックユーザーを増加
PPOは、App Storeプロダクトページのクリエイティブを3つのバージョン(バリエーション)を使ってテストできるiOS 15の新機能です。バージョンを作成したら、たとえばトラフィックの90%をコントロールページに送信し、残りの10%はテストバージョンのページに割り当てることができます。テストが完了したら、最もパフォーマンスの良いバージョンをコントロールページとして設定し、その後、90日間にわたって新しいバージョンをテストすることが可能です。
テスト中はApp Store ConnectのAppアナリティクスを使用して、インプレッション数やコンバージョン率、改善点などを確認できます。変更した内容とその成果を明確にするため、一度にテストする要素の数を制限することをおすすめします。1つのバージョンでスクリーンショットとアプリのプレビューの両方を変更したら、結果に影響を与えたのが何かを判定するのが難しくなるからです。
カスタムキャンペーンに固有のURLを設定し、最大35バージョンのプロダクトページを作成
これまでUAマーケターは、App Storeページで特定のメッセージを特定のユーザーにプロモーションするのに苦労しました。しかし、iOS 15のアップデートとカスタムプロダクトページの導入により、ユーザー層に合わせて最大35バージョンの異なるメッセージをカスタマイズできるようになります。これは、コンバージョン率を大幅に改善するための戦略として効果的です。
App Storeのプロダクトページでは、アプリの特長や機能を際立てて紹介することができ、特定のクリエイティブや機能に反応する可能性が高いユーザーをセグメント化し、ターゲティングできます。ここで試用できるのは、オーガニックでデフォルトのプロダクトページに表示されるものとは異なるプロモーション用テキスト、スクリーンショット、アプリのプレビューなどです。各ページに固有のURLを設定することで、特定のユーザーを最も関連性の高いページに誘導することが可能になります。たとえば、あるスポーツチームに焦点を当て、特定のユーザーに対してスポーツアプリをプロモーションしたい場合や、特定のゲームアプリの動画プレビューを設置したい場合に、この機能を活用できます。
PPOでは、最大35バージョンのページを作成し、Appアナリティクスでインプレッション数やダウンロード数、コンバージョン率などのパフォーマンスが把握できます。またApple社によると、カスタムプロダクトページごとに継続率や購入ユーザー1人あたりの平均収益を計測できるため、一定期間における各ページのパフォーマンスを理解できるようになると述べています。
PPOでできること
- ユーザーの位置情報に基づいて異なるページを作成する:フードデリバリーアプリのような複数の国や地域でサービスを展開する場合は、特定の都市や国のユーザー向けにプロダクトページを作成しましょう。
- さまざまな機能を強調して紹介する:ヘルス&フィットネスアプリは、ターゲットユーザー層に基づいてアプリが提供する個別のプログラムやコースを際立てて紹介できます。
- 複数のアプリ内オプションをおすすめする:複数のストーリモードやキャラクターオプションから選べるゲームアプリは、ユーザーのペルソナに基づいてプロモーションをすることが可能です。たとえばキャラクターが選べるゲームの場合、別のアセットを紹介することで多様な遊び方があることをユーザーに伝えられます。
データアクセスとプライバシーに関する課題
これらのアップデートは、UAマーケティングの選択肢を広げてくれるものですが、Apple社が開発者にどのデータをどのフォーマットで提供するかはまだはっきりしていません。同社によると、各カスタムプロダクトページの成果をAppアナリティクスでモニタリングし、その継続率と平均収益を計測できると述べていますが、データは集約される可能性があり、実際どのようなデータが提供されるかは明らかにされていません。また、コホートデータとパフォーマンスを計測できるのはマーケターにとって有益ですが、これまで施行されてきたAppleプライバシー規定に一致しません。
いずれにせよ、カスタムプロダクトページは、App Storeでアプリを公開するマーケターや開発者にとって注目すべきツールです。Adjustは今後も最新情報や成功のためのヒントおよびベストプラクティスをお届けするために、開発の最前線に立って取り組みを進めていきます。
iOS 14に関するその他の情報については、こちらのリソースセンターからご覧いただけます。
Adjustニュースレターに登録して、最新情報をいち早くご確認ください!