移動制限の緩和で回復に向かう旅行アプリのマーケティング

世界中の国や市場における移動制限が緩和されると共に、地域によっては家族と再会したり旅行するチャンスが徐々に現実のものとなっています。例えば米国では、飛行機を利用する旅行者が1日あたり200万人に達しました。この数はパンデミック前のレベルの約250万人に近づいており、2020年4月の旅客数9万人から大幅に増加しています。同様に、ホテルやレンタカーの需要も高くなっています。

ロックダウンで大きな損失を被った旅行アプリも、同様に回復に向かっています。例えば米国では、7月の旅行アプリのダウンロード数が前年比86%増加しました。Sensor Towerのレポートによると、2021年第2四半期のApp StoreとGoogle Playでの旅行アプリの初回インストール数がそれぞれ6100万回と2400万回に増加しています。新型コロナウイルスの流行以来、最多を記録した四半期です。

さらに、Adjustが調査したデータにもこのトレンドが反映しています。旅行アプリ業界の世界のインストール数とセッション数は2020年4月から大きく落ち込みましたが、現在は急速な回復を見せています。

復活する旅行アプリ

世界の旅行アプリのインストール数は、2019年から2020年にかけて36%減少しましたが、2021年の現時点で27%回復しています。特にアジア太平洋地域（APAC）では増加がめざましく、インストール数は2020年に35%まで落ち込んだものの、2021年には86%という急成長ぶりです。2020年のインストール数が最も低下したのは北米(43%)ですが、こちらも2021年の現時点で21%回復しています。

世界規模で旅行アプリの低迷が始まったのは2020年4月でしたが、それが上昇に転じたのは2021年4月です。2020年4月の世界の旅行アプリのインストール数は、2019年と比較して56%減少しましたが、2021年4月には前年比で117%増加しています。また、2020年4月の世界の旅行アプリのインストール数は2019年と比較してで56%減少しましたが、2021年4月には前年比で117%増加しました。

旅行者のアプリ利用が増加

アプリのインストール数と同じく、セッション数の増加ペースも好調です。世界の2020年のセッション数は前年平均と比較して9%減少しましたが、2021年の第3四半期では前年比で26%増加しています。ここでも4月の期間を比較してみると、変化の傾向がよくわかります。2020年4月の全世界のセッション数は44%減少しましたが、2021年4月は137%増加しています。

セッション数の増加が最も大きかったAPACでは、2021年の現時点で75%増を記録しました。さらに、EMEAが21％増、北米17％増と続いています。

セッションごとの平均アプリ滞在時間の長さも軒並み増加しており、パンデミック前よりもはるかに長くなっています。2019年の世界のアプリ滞在時間は11.49分、2020年は16.02分でしたが、2021年には16.94分に増加しています。この21ヶ月間で伸びが最も大きかったのはEMEAで、2019年は13分、2020年は19.46分、2021年の現時点で21.24分となっています。その一方、変化が最も少なかったのは北米で、2019年は7.6分、2020年は7.1分、2021年には7.41分でした。

2020年の第2四半期と2021年の第2四半期のアプリ内滞在時間を比較すると、旅行の選択肢が増えたことが要因で、ユーザーのアプリ滞在時間が長くなっています。2021年の第2四半期には、ユーザーの30日間のアプリ内滞在時間が大幅に増加していることがわかります。2020年第2四半期は4.7分だったのに比べ、2021年第2四半期末までの平均時間は5.15分まで伸びました。

旅行アプリの次の展開

制限の緩和は進んでいるものの、旅行業界がすぐにパンデミック前のレベルに完全復活する可能性は極めて低いと考えられます。前進する旅行業界でアプリを成功させることができるかどうかは、消費者の習慣の変化や旅行スタイルの変化に適応する力にかかってきます。旅行が可能になり、行動に移す消費者が増える中で、アプリにはできる限り身近で安全でシームレスなプロセスが求められます。

旅行の制限は地域や国、ときには州や都道府県によって異なり、急激な変更が発生する可能性もあります。最も成功を収めることができるのは、旅行者の情報を整理し、秩序を守り、安心を得るうえで役立つアプリでしょう。旅行中の通知、非接触モバイル決済、デジタル搭乗券オプション、健康データの保存などの機能が、変化する世界の需要を満たしてアプリを差別化することにつながるはずです。

旅行アプリのマーケティングやアプリのグロース方法について詳しく知りたい方は、こちらから「モバイルトラベルトレンドレポート」（英語のみ）をダウンロードしてください。