デバイスIDに依存しないプライバシー重視の計測

モバイルマーケティング業界のプライバシーポリシーは、大きな進化を遂げています。従来のアトリビューション計測が絶え間ない変革を遂げる中、モバイルマーケターはさまざまな課題に直面しています。その結果、マーケティングのパフォーマンスとプライバシーを重視したアトリビューションを提供する計測ソリューションと計測方法が注目を浴びるようになりました。

モバイル広告の黎明期には、デバイスレベルのデータをトラッキングしてキャンペーンの効果を計測する方法が一般的でした。しかし、ユーザープライバシーへの懸念が高まったことで、データの収集と活用方法が大きく変わりました。

Appleが2020年6月にiOS 14を発表し、App Tracking Transparency（ATT）フレームワークとGoogleのサードパーティクッキーを制限したことで、モバイルアプリ業界の基盤が大きく変わり、ユーザー行動を計測する方法が制限されました。業界を揺るがしたこの出来事がきっかけで、マーケターはユーザープライバシーの対応を見直し、モバイル広告計測へのアプローチを再定義せざるを得なくなったのです。

Adjustの最高製品責任者であるケイティ・マディング（Katie Madding）は、MAU Vegas 2023で次のように話しています。「この業界では毎年、何らかの新しい変化が起きています。MetaがまだFacebookだったとき、AdjustのコールバックでデバイスIDが取得できなくなりました。その後、iOSではディープリンクがユニバーサルリンクに変わりました。さらに、GDPR、SKAdNetworkの導入を経て、Googleプライバシーサンドボックスが発表されました。こうした変化はチャンスと同時に課題をもたらします」

ATTに関する初期の発表から2021年4月のiOS 14.5リリースによるATT導入に至るまで、業界は対応に迫られました。AdjustはAppleやパートナー、顧客と密接に連携し、シームレスな移行を促進するために取り組みました。この時期の業界の焦点は、厳密なアトリビューション計測と確定的データからよりバランスの取れたアプローチへと移行し、集計データを含む包括的な分析が、モバイル計測の新時代を形作りました。

Jam Cityのユーザー獲得VPであるウィニー・ウェン（Winnie Wen）氏は、マーケターへの影響をこう指摘しています。「過去数年、当社はさまざまな困難に直面してきました。パフォーマンスマーケティングは常に業界の変化に晒されますが、ATTの導入ほど業界に大きな影響を与えたものはありませんでした。オーディエンスを高度にターゲティングすることができなくなり、ROASの計測が不可能になったからです」

ウェン氏はさらに次のように述べています。「これにより、マーケターは今後どうするべきか考えざるを得なくなり、これまでのあらゆる常識を見直し、再評価しました。当社では、効果的かつ収益性の高い方法でiOSのUAを実施するために、新たな戦略を考えなければなりませんでした」

Googleはその後、Android版プライバシーサンドボックスを発表して話題を集めました。プライバシーサンドボックスは、パーソナライズされた広告体験を提供しつつユーザーのプライバシーを強化することを目的とした、同社が過去数年にわたって進めてきた独自の取り組みです。この取り組みは、アプリが広告を通じて無料のコンテンツやサービスを提供し続けられるようにすると同時に、サードパーティとのユーザーデータの共有を制限し、Androidデバイスにおけるユーザーのプライバシーを保護することに焦点を当てています。

Androidにおけるプライバシーサンドボックスの現時点での方向性は、より広い範囲、より迅速なポストバック、複数のレポートタイプ、ネットワークを経由しないGoogleからのイベントデータなど、AppleのSKAdNetwork（SKAN）とはいくつかの点で異なります。ユーザーとアプリパブリッシャーの両方がベータ版リリースに参加できるようになったこともあり、プライバシーサンドボックスが最終的に公開されればモバイル広告業界に大きな影響を与えることになるでしょう。Adjustは、プライバシーサンドボックスの初期段階のテスターとして、新たなプライバシーポリシーに対応する取り組みを継続し、Googleと連携してユーザープライバシーの保護と広告主へのインサイト提供を両立する広告ソリューションの進化をサポートしています。

このような新たなプライバシーの枠組みがもたらす課題に対応するため、モバイルマーケターは、デバイスレベルのアトリビューションだけではなく、集計データからもインサイトを得ることにシフトしつつあります。

上記の機能をすべて網羅した計測ソリューションを提供するAdjustは、業界の変化とトレンドを最前線でリードしてきました。Adjustは引き続き、データ主導の意思決定とキャンペーンの最適化をサポートするソリューションを開発し、モバイルマーケターの皆様に提供することを最優先に取り組んでいます。

さらに、マディングはこのように話しています。「SKANとプライバシーサンドボックスは、計測に対する完全なアプローチではありません。データには多くのギャップがあり、グロースマーケターが本来するべき仕事ができないこともあります。そのギャップを埋められるのがAdjustのソリューションです。計測は最適化なしに成り立つものではなく、最適化は計測なしには成り立たちません。マーケターにはそのどちらも必要なのです」

ユーザーIDを介さない新たなプライバシー重視の計測において重要なのは、アトリビューションメソッドと集計方法を1つの一貫した戦略で組み合わせ、可能な限り最も信頼できるインサイトを得ることです。Adjustは、集約されたデータを提供するiOS計測に関する以下の原則を遵守しています。

Convert：Adjustは、リサーチ主導のオプトインベストプラクティスでユーザーの同意率を最大限にするためのサポートをします。

Collect：Adjustは広範なパートナーネットワークを通じてSKANデータの収集を行っています。

Compute：確定的データと集約データの両方を活用したAdjustのコンバージョンモデルは、データポイントを計算し、トラッキングに同意しなかったユーザーのデータとKPIのパフォーマンスを正確に予測できます。

これらのデータ分析方法を組み合わせることで、マーケターは信頼できるインサイトを得ることができます。