ブログ iOS 14.5におけるゲームアプリの広告収益

iOS 14.5におけるゲームアプリの広告収益

Adjustではこの1年間、広告主やアドネットワークの皆様と、iOS 14の変更点が今後どのような影響を与えるかを協議してきました。それらの話を通して明らかだったのは、IDFAの取得有無に関わらず、広告マーケティングは引き続き重要であるということです。

本稿では、ゲームアプリの収益化についてまとめます。

iOS 14でデータ主導の意思決定をするには

ハイパーカジュアルゲームのようなデータ主導のアプローチがとられるアプリマーケターは、どのチャネルに予算を投入し、どのようにキャンペーンパフォーマンスを最適化すべきかをよく把握しています。なぜなら、ユーザー獲得が正確なキャンペーンデータに基づいて行われているためです。最もパフォーマンスの高いキャンペーンを特定するため、マーケターは0日目/1日目の継続率やユーザーのLTV、またはROASなどの特定のKPIを使用しています。

また、ゲームアプリのマーケティングの場合、非常に小さいROIのマージンでキャンペーンを運用するため、指標はすべて具体的なデータを必要とします。どこに投資するか、そしてどこでスケールダウンをするかを知ることで、指標を数パーセント引き上げることができるのです。

ここ数年のモバイルマーケティングの進化に逆行するようですが、確定的データが減少する中で、新規ユーザー獲得のために焦点を当てるべきチャネルを明らかにするには、再び推測を基に判断することが必要になります。しかし、広告マーケティングは、今後もモバイルエコシステムの一部として存在し、計測とパフォーマンスマーケティングの役割も、これまで以上に重要視されると考えられます。アプリの成長をサポートするための方法も、わずかに変化します。頼りにできる確定的データが少なくなるため、マーケターはモデルとコンテキストにより依存することになるのです。

メリットを活用する

確定的なデータを活用することは、業務をできる限り現状に近づけるための1つの方法です。ユーザー同意率を高めて、競争優位性を確保するようにしましょう。これにより、計測の正確性を維持しつつ、1,000回表示あたりの広告費(CPM)を高い状態にキープできます。

さらに、IDFAを自動的に取得できなくなると、CPMが大きな影響を受けてしまいます。確定的なリンクが消失するため、DSP/アドネットワークは、複数のパラメーターを考慮することが重要です。これらのパラメーターからは、ユーザーが多く課金をするユーザーかどうか(時間帯、デバイスのモデル、OSなど)を間接的にしか把握することができません。確定的なデータが取得できないことでリスクがより大きくなり、それが価格に反映されて、データが不確実になります。

その一方で、IDFAを使用するインベントリーの価格は引き続き高騰する可能性があり、数量の不明なインベントリーを購入するため、業界の多くのプレイヤーが高額な入札をして競い合うようになります。

また、高いオプトイン率を得るための戦略には、さまざまなものがあります。ATTルールの導入後は、CPMとアプリ内広告収益が1日目から大きな影響を受けます。そのため、収益を広告に頼っている開発者は、高いオプトイン率を得るために、プロンプト戦略のPDCAを迅速に繰り返す必要があります。iOS 14でアプリを構築する方法については、こちらのブログをご覧ください。

迅速に対応する

iOS 14.5では、トラッキングに同意しないユーザーにはターゲティング広告が配信されません。つまり、パブリッシャーにとっては、広告あたりの収益が減少することになります。そのため一部のパブリッシャーは、オプトアウトするとより多くの広告が配信されるということをユーザーに知らせて、質の面で失った収益の損失分を量で補おうとします。

2020年にAdjustが実施した調査では、ハイパーカジュアルゲームが1分あたりに表示する広告の数がゲームプレイよりも多いにもかかわらず、収益を上げていることが分かりました。しかし、広告の表示回数が増えるにつれてリターンは減少します。同調査では、1分あたり4広告以上を表示するハイパーカジュアルゲームでは、1ヶ月あたり約35,000ドルの収益が上限となっていることが明らかになりました。

最適値は1分あたりの広告数が2〜3と考えられ、的確に設定すれば、ハイパーカジュアルゲームは最大10%増の収益を実現できます。この結果は、iOS 14の広告収益化戦略を決定するにあたり、慎重にバランスをとる必要があることを示しています。パブリッシャーは、収益の損失を埋めるために、より多くの広告を表示する必要がありますが、広告過剰によりユーザー離脱が増えてしまわないよう気をつけましょう。

また、どのような種類の広告を表示するかも、検討するべきポイントです。動画やリワード広告、リッチメディアは、バナーや長方形広告と比較してよりユーザーの関心を引きつけることができます。よって、IDFAデータがなくてもパフォーマンスレベルを維持することができます。

KPIを設定する

広告で収益化を行っているゲーム市場の場合、ハイパーカジュアルゲームのようにアプリ内収益を生成する機会を予測することで、マーケティングを成功させる鍵となる、健全なレベルのアクション単価(CPA)を算出することが可能です。CPAを最適化している場合、コンディション「adrevenue」を使用することを推奨します。

SKAdNetworkの設定では、Adjustが提供するアドバンストソリューションのコンディション「adrevenue」により、開発者は広告インプレッションと広告収益のカウンターを計測できます。

以下の例では、ユーザーが0.2〜1ドル(またはレポート通貨)の収益を生み出した場合、conversion value「1」が返されます。

{
"adrevenue": {
     "revenue_min": 0.20,
     "revenue_max": 1.00
}
}

広告収益または広告インプレッションのバケットは、最大63個まで設定可能です。コンバージョン期間は24時間が推奨されます。オンデバイスの広告収益連携(MAX、Mopubなど)は、サーバー間連携によるソリューションと比較して、コンバージョン値の管理の信頼性が大幅に向上します。

iOS 14の新しいプライバシールールは、アプリマーケターがAppleデバイスでマーケティングをする方法を大きく変化させます。しかし、適切な戦略をとることで、アプリを引き続き成長させるとともに、ポストIDFAの世界でも成功を収めることができます。

iOS 14についてご不明な点がございましたら、担当のカスタマーサクセスマネージャーまたはテクニカルアカウントマネージャーまでお問い合せください。また、Adjustの最新ガイドはこちらからダウンロードいただけます。併せてiOS 14に関するリソースセンターもご覧ください。

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