ブログ アジアのモバイル市場でのアプリマーケティングについて知っておきたいこと

アジアのモバイル市場でのアプリマーケティングについて知っておきたいこと

アジアのモバイル市場は、アプリマーケターがターゲットオーディエンスにリーチし、ビジネスをスケーリングするための機会を多く提供しています。Dentsu Aegis Networkのレポートによると、APAC(アジア太平洋地域)は世界的な広告費用の増加を牽引しており、2019年は世界的な広告費用増加の42%を占めました。そして、この成長の58%を占めたのがモバイルです。アジア諸国向けのモバイルマーケティング戦略をマスターすることは容易ではありませんが、SpotifyやFacebookなどのアプリのように、適切な戦略を構築すれば大きな成長が期待できます。アジアの国々に対するマーケティングには、現地の文化的トレンドに合わせた独自の戦略が必要です。このガイドでは、中国、日本、韓国、インドネシアなどのアジア諸国向けのマーケティング戦略を構築するために必要なポイントを解説します。

アジアで最も成長が速いアプリ市場とは?

データアナリティクス企業のPubMaticのデータによると、APACはモバイルアプリのスケールと成長率が最も高い市場です。Adjustが独自に調査したモバイル成長マップでも、APACは世界的なモバイルアプリ成長指標を牽引している市場で、その中でもベトナム、シンガポール、マレーシアの3国に注目しました。

Think with Googleは、インドと中国を「決して無視できない存在」として、「中国、日本、韓国は世界的なデジタル広告費用ランキングでそれぞれ2位、4位、6位に位置しており、2億2,000万人以上がいるインドネシアは世界最大のムスリム市場である」と述べています。

アジア市場に重要なローカリゼーション

45億人の消費者が存在するアジア市場には、全体で2,300以上の言語が話されています。そのため、モバイルマーケティングを成功させるには、ローカリゼーションが重要です。ユーザーの多くは、単に現地の言語に翻訳されたアプリではなく、ローカライズ(地域化)されたプロダクトを求めているのです。よって、モバイルアプリにはターゲット市場の文化的なニュアンスを取り入れる必要があります。Adjustのクライアントパートナーのトッド・リン氏は、AdjustのEbook アジアでマーケティングを成長させる方法でこの点を強調しています。中国市場におけるローカリゼーションについて、リン氏は次のように話しています。「モバイルで成功するのは、北京や上海、広州などの大都市だけでなく、その国の消費者全体のニーズを理解する企業です。すべての広告主にとって、ローカリゼーションこそが最優先事項になります。優れたローカリゼーションと翻訳チーム、そして中国におけるトレンドやホットな話題を把握することが重要です」

アジア市場向けにモバイルアプリを展開する場合は、ローカリゼーションを早期に着手し、ターゲット地域に合ったサービスを提供するための方法を特定することが重要です。以下にそのポイントを4つ挙げました。

  1. ローカリゼーションの設計段階で、文字枠の変更に備える: これは重要なステップです。なぜなら、テキストが占めるスペースが言語によって異なるからです。テキストには重要な情報のみを含め、読みやすくする必要があります。早くから対策することで、その後のローカリゼーションにかかる時間を節約できます。
  2. ローカリゼーション対策をマッピングする: アプリ開発の初期段階でどうローカリゼーションを実装するかを考えることで、不必要に時間のかかるタスクを回避できます。たとえば、ローカリゼーションサービスを提供するプロバイダーを見つけて、そのプロセスについて事前に相談するのが賢明でしょう。
  3. アプリを見つけやすくする: サーチエンジン最適化(SEO)でアプリをより見つけやすくすることで、ターゲット地域でのオーガニックインストール数を増やすことができます。SEOの手法には、アプリストアのページのローカリゼーション、アプリのメインカテゴリー・サブカテゴリーの設定、アプリの説明文の頻繁な更新、さらに目を引く画像や動画の使用などがあります。これは、ROIと継続率を向上させる、高い価値をもたらすユーザーを引きつけるためのコスト対効果に優れた方法です。
  4. ローカライズしたモバイルアプリをベータテストする アプリのローカリゼーションが完了し機能が使えるようになったら、ターゲットオーディエンスを代表するネイティブスピーカーとテストを実施しましょう。これにより、ローカリゼーションがきちんとされたかどうかをローンチ前に確認できます。モバイルアプリのタイプによって、パブリックベータテストを実施するか、あるいはクローズドテストにするかを選びます。テスト中にユーザーからフィードバックが届きますので、それに対応できるようにしておきましょう。

ターゲット市場で最も人気のあるソーシャルメディアアプリを特定する

モバイルアプリをローカリゼーションするだけではなく、市場調査を広範囲に実施することをおすすめします。これにより、強固なソーシャルメディア戦略を構築できます。アジアでは、WeChat、Sina Weibo、LINE、SNOW、Youkuなっどのソーシャルメディアネットワークが人気を得ていますが、こうしたプラットフォームの人気を活用するには、それぞれについて詳しく理解しなければなりません。

アジアの成長市場におけるアプリマーケティングの効果的な活用方法

中国

Statistaのデータによると、中国の携帯電話契約数は16億件以上に上ります。WeChat、QQ、Baiduなどの国内大手開発者のアプリがひしめき合う中国のモバイル市場は成熟しています。これらのアプリが市場を支配しているため、中国市場での成功を目指す開発者は、現地のアプリパートナーと協働する必要があります。中国で大人気なソーシャルアプリと協働することで、迅速かつ効率的に市場に参入できます。

  • 無料でプレイできるゲームが一般的に: 中国では、無料でプレイできるゲームが非常に人気があることを考慮しておきましょう。欧米とアジアの広告マーケティングのギャップを埋めることを専門とするモバイル広告プラットフォーム、Mintegralのレポートによると、ユーザーの61%が無料でプレイできるゲームを好んで選ぶことが分かりました。よって、自社のモバイルゲームに適している場合は、フリーミアムモデルを検討するのが良いでしょう。
  • **動画キャンペーン:**ショート動画配信アプリは大きな成功を収め、動画ベースのキャンペーンはコストが高くてもその分価値があることを証明しました。中でもTikTokは急激な成長を遂げており、ダウンロード数は世界中で26億回を突破しています。さらに、同アプリの2021年1月単体のダウンロード数は6,200万回に達しました。
  • **中国で主流のOSはAndroid:**中国ではGoogle Playがブロックされているため、複数のAndroidストアが断片的に存在しています。AppInChinaのアプリストア指標によると、最も人気のあるアプリストアはHuaweiのApp Market(マーケットシェア 37.38%)で、TencentのMy App(30.97%)とOPPOのSoftware Store(26.53%)が続いています。
  • **中国で人気のミニプログラム:**サブアプリとしても知られるミニプログラムは、大きなプラットフォームでネイティブに稼働する軽量アプリです。別のアプリの一部として実行され、動作が速いのが特徴です。たとえば、TencentやWeChatは多くのミニプログラムを提供しています。

日本

日本も成熟したAPAC市場のひとつで、アプリストアでの支出額は1,400万ドルと世界第3位に位置付けています。Adjust 日本ゼネラルマネージャーの佐々直紀は次のように説明しています。「スマートフォンはもはや生活に欠かせません。日本では、フードデリバリーアプリやショッピングアプリなどのライフスタイルアプリが高い人気を得ていますが、幅広いジャンルでユーザーに深く浸透しており、広告主が日本市場に注目するきっかけとなっています。」現在日本で最も多くダウンロードされているアプリのカテゴリーは、動画ストリーミング(63.5%)、天気予報(60.7%)、コミュニケーション(60.5%)、SNS(59.7%)です。

  • テスト市場としての日本: 日本は理想的なテスト市場ではないため、海外のアプリが日本でローンチする際は、他の地域でアプリをテストをした上で実施することをおすすめします。
  • **FacebookやGoogleにとってかわる存在の影響力:**日本では世界的な大手テック企業のアプリも人気ではあるものの、それらが市場を独占しているわけではありません。たとえば、日本のユーザーのFacebook利用率は20%で、市場シェアは他の市場よりも少ないことがわかっています。LINEやYahoo!Japanなどのモバイルアプリも広く普及しており、広告主が全体的な戦略を立てる上で忘れてはいけない存在です。
  • **ゲーマーは積極的に課金をしている:**アジアのモバイルゲームは、各国で異なるユーザー行動の傾向を示しています。たとえば、日本は世界第2位のモバイルゲーム市場で、ゲーマーは気に入ったアプリ内で購入する傾向が高いことがわかっています。実際に、全モバイルゲーマーの約半数(46%)がゲーム内で課金しています。

インドネシア

インドネシアは東南アジア最大のエコノミーで、モバイル普及率は47.6%にも上ります。さらに、Adjustの「Global App Trends 2019」レポートでは、インドネシアはアプリマーケターにとって最も急成長が見込める市場でもあることが分かりました。

  • インタラクティブな広告で目標を達成する: キャンペーンのゲーミフィケーションは、インドネシア市場にアプローチするためのスマートな方法です。妊娠と健康をサポートする先進的アプリ「Teman Bumil」のシニアデジタルマネージャーであるRengga Tranfianto Nurvigya氏は、キャンペーンのゲーミフィケーションは優れたパフォーマンスを発揮する傾向があるとして、テーマに関連した広告を推奨しています。特に、ラマダンやインドネシアのオンラインショッピングデイである「Harbolnas」といった休日やイベントにリンクさせると、優れた効果を発揮すると述べています。
  • 革新的なフィンテックが成功への道を拓く: フィンテック企業は、これまでバンキングサービスが利用できなかったインドネシアの多くの人々に、オンラインのファイナンス管理ツールを提供しています。たとえば、ソーシャルに目を向けたモバイル決済プラットフォームのNetzmeは、インドネシアの人々の金融サービスへのアクセスと利用のあり方を変化させています。Netzmeの共同創業者兼CEO、ヴィッキー・サプトラ氏は同社が目指すゴールについて次のように述べています。「私たちは、[インドネシアでは]特に小都市や農村部において、より多くの人々が銀行口座を持ち、金融的なリテラシーを身につけることが非常に重要だと気付きました。インドネシアではこうした人々が大多数であり、私たちのサービスによって国中のユーザーに社会的な良い影響をもたらせると信じています」

韓国

韓国は、人口の95%がスマートフォンを所有するモバイルファースト市場です。韓国で最も利用率が高いアプリのタイプは、動画関連アプリです。2020年のモバイル動画再生アプリと動画編集アプリの滞在時間は約601億8,000万分に達しました。

  • アプリストアのエコシステムを理解する: 韓国で主流なのはAndroidデバイスですが、Google Playは他の地域のようにアプリストア市場を支配する存在ではありません。韓国のエコシステムには多様性があり、「Kakao」などのモバイルオペレーターやプラットフォームは,ダウンロード可能なコンテンツも提供しています。
  • Androidでの収益化強化: 韓国の通信インフラシステムでは、データキャリアがアプリ内購入とダウンロードに関する請求オプションを提供できるようになっています。これにより、ユーザーはクレジットカードを使わずに課金できます。モバイルディスカバリープラットフォームのApp Nextによると、このエコシステムの結果として、Appleに比べてAndroidアプリのROIが高いことが分かっています。
  • 全体的な戦略にインフルエンサーマーケティングを取り入れる: 韓国では、有名セレブやソーシャル メディア インフルエンサーを起用したマーケティングが効果的です。人気のKポップグループから個人のインフルエンサーまで、このマーケティング方法をとることで韓国市場に深く入り込み、ブランドイメージを高めることができます。韓国でのインフルエンサーマーケティングの例として、大人気グループBTSとモバイルゲーム企業Netmarbleとのパートナー連携や、サッカー選手ソン・フンミンのMMORPGの格闘技ゲーム「Hero Shinsword」のアンバサダー就任などがあります。

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