ブログ 2024年旧正月に向けたモバイルアプリにおけるインサイトとマーケティング戦略

2024年旧正月に向けたモバイルアプリにおけるインサイトとマーケティング戦略

中国をはじめ、韓国や台湾、ベトナムなど、アジア各国で盛大に祝われる旧正月。2024年は2月10日に春節を迎えて「卯年」が終わりを告げ、出世や権力、正義を意味する「辰年」へと変わります。この日は単なる干支の変わり目であるだけでなく、文化的にも重要な節目であり、同時に世界規模で消費やエンゲージメントが盛んになる時期でもあります。何十億もの人々が祝う旧正月は、家族が集まってご馳走を囲んだりプレゼントを贈り合ったりと、心に残る思い出を作るひとときです。実は、モバイルアプリもこの日に重要な役割を果たします。例えば、離れている家族をオンラインで繋げたり、プレゼントの買い物がより簡単にできるようにしたり、お祝いのご馳走を時間に合わせてデリバリーしたり、新年の挨拶を伝え合ったりと、モバイルアプリが伝統的な日をより豊かなものにしてくれます。

このブログでは、 旧正月におけるモバイルアプリの傾向をご紹介します。春節などの季節ごとの行事において、アプリが果たす重要な役割や、進化する消費者の嗜好を理解するための基本について解説します。次に、慶事にあたるこの時期に、モバイルマーケターの存在感を高めるための効果的なマーケティング戦略と革新的なキャンペーンを打ち出すための方法について見ていきます。新しいアプリのローンチや既存アプリの最適化のいずれの場合でも、節目の季節を賢く活用してアプリの成長とエンゲージメントに繋げるためのヒントになれば幸いです。

季節の節目がさまざまなカテゴリーのアプリの成長を加速させる

アジア各国では旧正月期間にさまざまなサブカテゴリーのアプリで、インストール数やセッション数、アプリ内滞在時間が大幅に増加し、新春の休暇における多様な消費者行動が反映されています。2023年の旧正月におけるモバイルアプリの傾向は下記の通りです。

  • ショッピングアプリのインストール数が増加:旧正月のお祝いにあたり、ショッピングアプリのインストール数が大幅に増加しました。2022年の前年比は10%増だったのに対し、2023年はさらに7%増となり、この時期に近しい人々への贈り物を探すという消費者の傾向を示しています。
  • お得情報アプリが勢いを増す:お得情報アプリの利用状況が急上昇しました。2023年の旧正月には2022年と比較してインストール数が15%増加しています。この増加傾向は世界的に見られ、2023年1月の1日あたりの平均値との比較を地域別で見ると、北米では10%、APACでは7%、 EMEAでは4%の増加がありました。セッションごとのアプリ内滞在時間のグローバルレベルでの平均値も、2022年は6.31分だったのが2023年には6.96分に増加しました。
  • マーケットプレイスアプリの利用率が増加:マーケットプレイスアプリのインストール数は、グローバルで前年比3%増と、同様の傾向にあります。成長を牽引したのはAPACで、2023年1月の1日あたりの平均値と比較して27%増加しました。EMEAと北米もそれぞれ7%増、6%増しています。世界的に見たアプリ内滞在時間も、2022年の11.51分が2023年には11.91分と、わずかながら増加しました。
  • フードデリバリーアプリが大人気:旧正月の1日だけでフードデリバリーアプリのインストール数は世界的に前年比で8%増加しました。これに伴い、世界的なセッション数も2023年1月の1日あたりのグローバル平均値と比較して4%増加しました。世界的に見たアプリ内滞在時間は2022年の14.94分から大幅に増え、2023年は17.39分へと急増しました。各地域別でのインストール数は、1月の平均値よりAPACで7%、北米で6%、EMEAで4%増加しました。
  • レシピアプリで家庭料理を検索:レシピアプリを旧正月と同月の1日あたりの平均値とで比較すると、世界的にインストール数は14%、セッション数は13%とそれぞれ増加しました。世界的に見たセッションごとのアプリ内滞在時間は、2022年の12.32分から2023年には13.42分に増加しました。APACが17%増で成長を牽引し、次いで北米とEMEAがそれぞれ9%と2%増加しました。
  • エンターテイメントのためのモバイルゲーム:2023年はゲームアプリのインストール数が世界的に前年比の2%増加し、セッション数は月の1日あたりの平均値より4%増加しました。世界的に見たアプリ内滞在時間は、2022年の31.33分から2023年の32.29分に増加しました。APACと北米では、2023年1月の1日あたりの平均値と比較して旧正月のゲームアプリのインストール数は17%増加し、APACではセッション数も7%増加しました。 EMEAでのインストール数は8%増加しました。

アプリを成長させるために鍵となる5つの戦略

旧正月はアプリマーケターにとって絶好の機会です。この時期、消費者は、幸運や成功、新たなスタートといった新年というテーマにふさわしい商品やサービスを探します。モバイルアプリマーケターは、こうした感情に響くよう、戦略的に訴求することで、ユーザーとの絆を強めてロイヤリティを高め、ポジティブなブランドイメージを育むことができます。今年の旧正月期間に向けて、ここではユーザー獲得(UA)や継続率、収益を向上させるために鍵となる5つの戦略をご紹介します。

  1. ​​文化的な関連性を高める: さまざまなアジア人コミュニティが持つ、微妙に異なるそれぞれの特徴を理解して尊重することで、旧正月をさらによいものに演出することができます。地域別の特色や文化や行事を意識したもの、伝統的なモチーフなどを組み合わせることでアプローチ方法を作り上げるとよいでしょう。特有のお祝い事を認識し、これらの要素をマーケティングに取り入れてユーザーとの繋がりを深めましょう。
  2. マーケティングチャネルの多様化と統合: 複数のマーケティングチャネルを組み合わせた一貫性のある戦略を組み、オンラインでの存在感を効率化しましょう。プログラマティック広告やソーシャルメディアプラットフォーム、ダイレクトメールによるキャンペーンなどを組み合わせて使用することをお勧めします。文化や行事と関連性が高いコンテンツでユーザーを誘致したり、特に中国市場で真の影響力があるWeChatなどのチャネルを使用して、プロモーションが届く範囲を拡大させると効果的です。
  3. 新年に関連するアイテムと戦略的なプロモーション: 旧正月をテーマにしたユニークな商品やプロモーションを、伝統的な季節の贈り物に活用しましょう。お祝いムードを盛り上げる限定アイテムをデザインしたり、願いを込める幸運の赤い封筒などの伝統(中国や東南アジアの一部の風習)をモチーフにした割引を提供しましょう。地元のアーティストとコラボレートしてオリジナルかつ文化行事にちなんだコンテンツを制作することもお勧めします。
  4. インフルエンサーとのパートナー連携やコミュニティのエンゲージメント: インフルエンサーや、一般のユーザーによって制作されるユーザー生成コンテンツを活用して、ブランドのリーチと信頼性を高められます。旧正月が持つ文化的な意義を尊重するインフルエンサーと連携し、顧客がお祝い行事の出来事をシェアできるよう働きかけましょう。
  5. 早期キャンペーン計画: 休暇直前の戦略にも効果がありますが、早い時期から旧正月に向けたマーケティングを開始して、大型連休中にキャンペーンが思い出されるようにしっかりと心を掴んでおきましょう。

旧正月キャンペーンが成功した3つの例

モバイルマーケターはユーザーの興味を引いて誘致するための新たな方法を常に模索しています。旧正月という特別な行事に合わせて、高度な技術を活用したキャンペーンを打ち出す企業も少なくありません。次の例では、旧正月らしさをカプセル化して多種多様なユーザーと繋がるために、伝統的な行事と現代のデジタル戦略をどのようにうまく融合させることができるかをご紹介します。

コカ・コーラ

コカ・コーラ社がとった2023年旧正月における革新的なキャンペーンは、団結と世代を超えた絆の精神を表現しました。アジアの8ヶ国の市場にまたがったキャンペーンでは、家族の中で変化してゆく旧正月の伝統を描いた感動的なアニメーション映画『Grandma's Jiaozi』を公開しました。

人工知能(AI)を活用し、インタラクティブな拡張現実(AR)の要素を取り入れたモバイル機能と期間限定パッケージを打ち出して、伝統的な習慣と最新テクノロジーを組み合わせることによってキャンペーンを強化しました。AIを搭載した『Magic Capturer』などのツールは、家族で撮る写真をインタラクティブに共有できる瞬間へと変えました。他方で、ギフトパックとしてARアニメーションを採用することで、プレゼントを贈り合うという伝統を現代化しました。この戦略は世代間のギャップを埋め、若い世代からお年寄りのユーザーまで幅広い層に訴求することができる楽しい体験を提供することに成功しました。

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マクドナルド

マクドナルド社は、デジタルコンテンツクリエイターのカレン・X・チェン氏と共同でダイナミックな旧正月キャンペーンを打ち出しました。このキャンペーンでは、没入型3次元(3D)場面を生成するAIであるニューラルラディアンスフィールド(NeRF)の技術が採用された30秒の画期的なCMが放映されました。また、チェン氏の子供時代の旧正月の思い出を描いた広告の中にはQRコードが含まれていて、さらなるキャンペーン機能が見られる仕組みになっていました。このプロモーションは、特にアジア系アメリカ人・太平洋諸島住民(AAPI)のコミュニティに対して、イノベーションと文化的なエンゲージメントを組み合わせることへのマクドナルドのコミットメントを示しています。他にもInstagramのARフィルターやSpatial(スペーシャル)によるメタバース空間体験を展開するなどして、キャンペーンをさらに増強しました。仮想環境では、干支の3Dモデルや、卯年にちなんだお祝いやチェン氏のアバターとの対話型セッションなどの特別イベントなどが手がけられました。

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Sephora(セフォラ)

Sephoraマレーシアは、競争が激しい市場において他社との差別化を図ることを目標に、アプリ内メッセージをインタラクティブにすることで、旧正月に合わせた「Lung Pao」という魅力あるキャンペーンを展開しました。このキャンペーンでは、アンパオ(幸運の赤い封筒)を贈るという伝統的な習慣が置き換えられ、ユーザーは1月15日から17日の期間にアプリ内で仮想の赤い小包を受け取り、その箱の中から商品券やポイントのほか、Dysonのヘアードライヤーなど豪華なアイテムが出てくる、という仕掛けでした。賞品を受け取るユーザーは個人情報を入力するため、これにより企業の顧客プロファイルを強化させることもできました。この結果、当選したユーザーの中でも、特に低価格帯の賞品を受け取ったユーザーによる購入が132%増加しました。このキャンペーンはモバイルマーケティングにゲームの要素を加えることがいかに顧客エンゲージメントと価値を効果的に高め、コンバージョンの増加に繋がるかを示しています。

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