ブログ Back to Basicsガイド:iOS 14.5以降のマーケティング

Back to Basicsガイド:iOS 14.5以降のマーケティング

はじめに

データプライバシーはテック業界全体において大きな話題を呼んでいます。2020年6月、iOS 14リリースに伴うAppleの新たなユーザープライバシーポリシーが発表され、モバイルマーケティングの世界に激震が走りました。開発者が新しいガイドラインに対応するために設けられた移行期間が経過した後の2021年4月、iOS 14.5のリリースと共にこれらの変更点が完全に施行されました。

Appleは以前から、ユーザーがiOSデバイスで収集されたデータについてより詳しく把握し、コントロールできるようにするための機能を追加していました。しかし、AppTrackingTransparency frameworkなどの導入により、モバイルユーザーデータの取得と共有の手段は大きく変化したのです。モバイルマーケターにとって、これらの変更点の詳細や影響に対応するのは大変な作業だと感じるかもしれません。

このガイドでは、デバイスIDやIDFA、ATT frameworkなど、ユーザープライバシーに関するiOS 14.5以降の重要なコンセプトについて基本的な点を振り返ります。また、AppleのアトリビューションソリューションであるSKAdNetworkに加え、Appleのプライバシーガイドラインに準拠した他のアトリビューションオプションについても詳しく解説します。Adjustはこれまで、Appleやパートナー、クライアントと緊密に連携し、ユーザープライバシーを保護しつつ開発者、広告主、マーケターのニーズに合ったソリューションを提供してきました。そのプロセスで得た豊富なインサイトをお届けしていきます。

第1章:デバイスID

デバイスIDとは

デバイスIDは、一つひとつのスマートフォンやタブレットを特定するための、数字と文字で構成された一意の文字列です。デバイスIDは主に2つの用途に用いられます。1つ目はデバイスにハードコーティングされたデバイスIDで、OSを基に端末を識別するためのものです。これは容易に変更やリセットができません。2つ目は簡単にリセット可能な「広告ID」と呼ばれるもので、マーケティングに用いられます。

モバイルマーケティングでは通常、デバイスIDは後者を意味します。広告IDによりマーケターは、ユーザー個人が特定可能な情報を明らかにすることなく、デバイスからのユーザー行動を特定・計測することができます。デバイスIDを使用することで、マーケターは個々のユーザーの行動をより正確に計測できるため、信頼性の高いアトリビューションデータが得られるとともに、IDに基づいてユーザーをコホートに分類できるようになります。さらに、より効果的なアドターゲティングと最適化が可能になり、ユーザーがインストール後にアプリとどのように関わっているかがわかります。

デバイスIDには主に2つのタイプがあり、その名称はオペレーティングシステムによって異なります。デバイスIDは、AndroidではGPS ADID(Google Play Services ID for Android)、iOSではIDFA(Identifier for Advertisers)と呼ばれます。

IDFAとは

IDFA(Identifier for Advertisers)は、Appleによってユーザーのデバイスにランダムに割り当てられるデバイスIDです。ブラウザーのサードパーティークッキーと同様に、マーケターはこれを使用してユーザーによる広告やモバイルアプリとのインタラクション(クリック、ダウンロード、購入など)を計測します。IDFAを使用すると、広告主は個人情報にアクセスすることなくユーザーにターゲティング広告を表示できます。

IDFAは、最も正確にiOSユーザーを計測し、アトリビューションができる方法です。デバイスに単一のIDFAを割り当てることで、広告主はユーザーがいつモバイル広告キャンペーンと関わったか、いつ特定の広告をクリックしたか、さらにどのアプリ内イベントをトリガーしたかを特定できます。

IDFVとは

IDFV(Identifier for Vendors )は、Appleによってアプリ開発者のすべてのアプリに割り当てられるIDです。同じデバイス上に存在する同じ開発者によるアプリにはすべて、同一のIDFV値が割り当てられます。同じデバイス上でも、異なる開発者のアプリには異なるIDFV値が付与されます。また、開発者が同じかどうかに関係なく、異なるデバイス上のアプリにも異なるIDFVが割り当てられます。

IDFAはデバイスレベルで割り当てられ、ユーザーがリセットできますが、IDFVは1つのベンダーによるすべてのアプリに割り当てられるものであり、そのベンダーのアプリがすべてアンインストールされるとIDFVは無効になります。ユーザーが同じ開発者のアプリをすべてデバイスから消去し、その後それらのアプリを再インストールした場合、IDFVの値は変化します。通常、IDFVはApp Storeが提供する開発者のデータに基づいて決定されます。アプリがApp Storeからインストールされていない場合(企業向けアプリや開発中のアプリなど)、ベンダーIDはアプリのバンドルIDに基づいて計算されます。

IDFVを使用すると、IDFAの共有に同意していないユーザーも対象に含むiOSキャンペーンのクロスプロモーションが可能になります。IDFVがトラッカーURLで渡されていれば、IDFVはマーケターにiOSキャンペーンのより正確なアトリビューションデータを提供できます。

第2章:AppTrackingTransparency Framework

AppTrackingTransparency(ATT)とは

iOS 14.5以降、広告トラッキングに対するユーザーの同意はAppTrackingTransparency(ATT)frameworkを通して管理されています。AppleのフレームワークであるATTにより、ユーザーは自身のデータがいつ、どのようにアドネットワークや分析・計測パートナーなどのサードパーティーと共有されるかを管理できます。ATTの主な目的は、具体的にデバイスからのどのデータが共有されているかをユーザーが明確に理解できるようにすることと、ユーザーが同意しない限りデータの共有を制限することです。

Appleのガイドラインでは、エンドユーザーデータを収集し、サードパーティーと共有するすべてのiOSアプリにATT frameworkの使用が求められています。デバイスのIDFAにアクセスするには、アプリ開発者とパートナーは、iOSプロンプトを通してユーザーからの明示的な同意を得なければなりません。同意を得る唯一の方法は、アプリごとのオプトインです。ユーザーがオプトインしない場合、ATTでIDFAとユーザーレベルのデータにアクセスし、トラッキングすることはできません。

ATTプロンプト

アプリは、ユーザーに1回のみ表示されるプロンプトを使用してIDFAへのアクセスをリクエストできます。プロンプトとは、リクエストしているアプリ内に表示されるAppleのシステムアラートで、ユーザーはこのプロンプトに応答することでIDFAへのアクセスをコントロールすることが可能です。アプリは、いつ、誰にプロンプトを表示するかはコントロールできるものの、ユーザーがこのプロンプトを通してオプトインするまではIDFAにアクセスできません。

ATTプロンプトは、見出し(編集不可)と小見出し(編集可)、さらにトラッキングに同意するかしないかの2つの選択肢で構成されます。見出しはAppleによる既定のもので、「(アプリ名)が他社のAppやWebサイトを横断してあなたのアクティビティを追跡することを許可しますか?」という表記になっています。小見出しはアプリ開発者による編集が可能で、ここには「データは、よりお客様に適した広告を表示するために利用されます」など、トラッキングをリクエストする理由を記載できます。

ユーザーはこのプロンプトに対して、2つの選択肢から選ぶことができます。

  • 許可:ユーザーがこれを選択すると、アプリパブリッシャーとパートナーはデバイスのIDFAを読み取れるようになります。

  • Appにトラッキングしないように要求:このオプションが選択された場合、アプリパブリッシャーとパートナーはIDFAにアクセスできません。ユーザーがこのアプリをアンインストールして再インストールしない限り、プロンプトが再び表示されることはありません。

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    ユーザーが「Appにトラッキングしないように要求」を選択した場合でも、いつでもアプリの設定を変更してIDFAの共有を許可できます。また、ユーザーは、各種アプリがこのプロンプトを使用して許可を要求する設定をOFFにすることも可能です。デバイスの設定でこのオプションが選択されていると、アプリが許可を要求しようとしてもポップアップが表示されず、パブリッシャーにはIDFAがゼロの文字列として返されます。

    この設定のON/OFFにかかわらず、同意プロンプトが表示されることがない場合でも、開発者はユーザーをアプリの設定画面に誘導することができます。上記の設定がOFFであっても、ユーザーはいつでもこのアプリのトラッキングを許可できます。このメカニズムにより、ユーザーが同意した場合はいつでも適切なアプリレベルの設定画面に誘導し、そこで同意してもらうことが可能になります。

    ATTステータス

    ATTにはユーザーの同意状況を表す4つのステータスがあり、これらはデバイスのトラッキングに使用可能なアプリ関連のデータにアクセスできるかどうかを決定します。

    • 0 - 未決定(Not Determined):この値は、IDFAへのアクセス許可をリクエストするATTプロンプトがまだユーザーに表示されていないことを意味します。
    • 1 - 制限あり(Restricted):IDFAへのアクセスが制限されている場合にこの値が返されます。
    • 2 - 拒否(Denied):ユーザーがIDFAへのアクセスを拒否していることを意味します。これには、「Appからのトラッキング要求を許可(Allow apps to request to track)」のデバイス設定がグローバルレベルでOFFになっていることも含まれます。
    • 3 - 承認(Authorized):ユーザーがIDFAへのアクセスを許可していることを意味します。

    ユーザーのオプトイン

    iOS 14.5以降の世界でマーケターがマーケティングで優れた成果を出すために重要なことの1つに、ユーザーオプトイン率の最大化があります。同意率が高いほどiOS 14以前と同じようにトラッキングができることから、これが競争上優位になることは明らかです。

    ATTのユーザー同意ポップアップは1度しかトリガーできないため、ユーザーを効果的にオプトインに誘導するための最適化が重要になります。以下のポイントを参考にして、優れたユーザー体験(UX)を提供しつつポップアップをトリガーし、ユーザーがデバイスデータと引き換えにより良いアプリ体験をしてもらえるよう心がけてください。

    • すぐにポップアップをトリガーしない:アナリティクスの観点から言うと、IDFAに早くアクセスできるのは良いことですが、AdjustはIDFAが取得できるようになれば、デバイスのデータをIDFAを利用してバックフィルすることができます。すぐにIDFAを取得するよりも、ユーザーが同意する可能性がより高いタイミングでリクエストする方が重要なのです。

    • ユーザーにアプリの価値を伝える:ユーザーにデータの共有をリクエストする前に(拒否される可能性は高いですが)、まずは優れたユーザー体験を提供してアプリの価値を示しましょう。これにより、ユーザーがその価値と引き換えにトラッキングに同意する可能性が高くなります。

    • iOSポップアップをトリガーする前に、プリ パーミッション プロンプトを使用して同意をリクエストする:このプロンプトは、デザインや表示するテキストをアプリに合わせて自由にカスタマイズできます。強力なUX戦略と説得力のあるプリ パーミッション プロンプトを構築する方法については、ユーザー同意の確保に関するブログ記事をご覧ください。

    • デバイスのトラッキングをリクエストするメッセージを作成する際、ユーザーのアプリとの関係性やアプリでの過去の経験を考慮する。:これまでアプリを使用してくれたことについて、ユーザーに感謝の言葉を伝えましょう。

    • トラッキングに同意した場合にユーザーが得られる価値を示す:ユーザーにターゲティング広告を表示したい、または関連サービスを販売したい場合は、ユーザーにとってどのようなメリットがあるかを伝える必要があります。

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      2020年にAppleがAppTrackingTransparency framework(ATT)を初めて発表して以降、Adjustはクライアントと連携して対策を進め、オプトイン率を向上させるためには何が効果的で、何がそうではないかについて多くの情報を得てきました。最適なオプトインをデザインする方法については、オプトイン率を向上させるためのデザインと避けるべきポイントを解説したこちらのブログ記事をご覧ください。

第3章:SKAdNetwork

SKAdNetworkとは

ATTに加えて、iOS 14.5以降のマーケターが対応しなければならないもう1つの変更点にSKAdNetworkがあります。SKAdNetworkはAppleのソリューションで、アプリ開発者にユーザーレベルのデータを共有することなく、アプリのインストールと再インストールに対してアトリビューションを行います。

名称に「network」とあるものの、実際にAppleが提供しているのはSDK機能とAPIコールの組み合わせから成るサービスです。アプリの広告主はSKAdNetworkを無料で使用できます。SKAdNetworkから提供された情報は、コールバックを使用してデバイス、Apple、アドネットワーク、広告主とそのパートナー(Adjustなど)の間を中継することが可能です。アトリビューションはまずApp Storeによって行われ、Appleのサーバーで検証され、あらゆるユーザーレベルのデータが消去された後にアドネットワークや開発者に送信されます。SKAdNetworkの使用に際して、アドネットワークはAppleに登録し、開発者はアプリが登録されたネットワークおよびフレームワークとの互換性があることを確認する必要があります。業界有数のSKAdNetwork連携パートナー数を誇るAdjustでは、さまざまなパートナーで計測が可能です。

SKAdNetworkの目的は、デバイスのプライバシーを確実に保護しつつ、基本的な、集計されたアトリビューションデータを提供することです。SKAdNetworkでは、リアルタイムデータ、ユーザーレベルのデータ、インストールやイベントのタイムスタンプは利用できません。代わりに、限られた数のイベントと、インストール後のイベントの最初のインスタンスのみが提供されます。SKAdNetworkは現在ディープリンク(ディファードディープリンクまたは条件付きディープリンク)とビュースルーアトリビューションをサポートしておらず、ダウンロード以外をアトリビュートしません。

SKAdNetworkのフレームワークでは、ネットワークごとに100種類のキャンペーンしか確認することができません。多くのキャンペーンには、地域、デバイスタイプ、クリエイティブなど無数のサブレベルが存在することから、これは広告主にとってボトルネックとなる可能性があります。たとえば、5ヶ国で10のクリエイティブを使用する施策をとった場合、許容できるのはネットワークごとに2つのキャンペーンのみとなります。

クライアントは社内でSKAdNetworkを実装することができるほか、Adjustでも実装のサポートをしています。Adjustと連携している場合もアトリビューションを行うのはAppleで、Adjustが行うのはデータの集計です。

SKAdNetworkのconversion valueとは

広告がクリックされてApp Storeが開くと、App Storeは成功したコンバージョン(パブリッシャーID、ネットワークID、キャンペーンIDで構成される)に関する通知をアドネットワークまたはアプリ開発者に送信します。これと同時に、アプリで設定可能なconversion value(コンバージョン値)が付与されます。

Conversion valueは広告主が設定する0〜63(またはバイナリーの000000〜111111の間)の間の数字で、基本的なインストール後のイベントトラッキングを可能にします。上記の通知とconversion valueは、ユーザーが初めてアプリを起動した後少なくとも24時間後に送信されます。これは、情報を特定のユーザーに紐付けできなくするためです。

どのイベントをconversion valueにマッピングするかは、アプリ開発者が決めることができます(ゲームの場合はレベルアップのトラッキングなど)。しかし、conversion valueの設定には制限があります。Conversion valueは増えるのみで、値が小さくなることはなく、インストール後の最初の24時間以内に発生したイベントにマッピングされなければなりません。たとえば、ゲームアプリで「レベル1」というイベントコードを作成し、このconversion valueが000001だとしましょう。ユーザーがゲーム内通貨を購入すると、これには000011という別の値が割り当てられます。このユーザーがその後「レベル2」に到達した場合、conversion valueはより大きな値にしかできないため、ビットを000010に変更することはできません。これを回避するために、開発者は個別のイベントに対してではなく、それぞれのパスまたは考えられる組み合わせにビット値を割り当てる必要があります。

Conversion valueに関する懸念の1つとして、conversion valueは未署名のため、アプリ開発者はイベントの発生の有無を以前と同等の確実性をもって検証できないことが挙げられます。

Conversion valueタイマー

ユーザーが初めてアプリを起動すると、conversion valueがアドネットワークに送信されるまでの24時間のタイマーがスタートします。アプリ内イベントによってconversion valueが更新されるたびに、タイマーがさらに24時間延長されます。

24時間以内に発生した他のコンバージョンイベントがないためにタイマーが終了すると、次のアトリビューションのための24時間のカウントダウンが開始されます。SKAdNetworkは、この24時間以内にランダムなタイミングで集計されたアトリビューションデータを返します。ユーザーレベルの粒度の高いデータは提供されません。このランダム化と、SKAdNetworkペイロードの提供の遅延により、ログインや購入などのアプリ内イベントトリガーを個々のユーザーに紐付けることができなくなります。また、この遅延のため、マーケターはSKAdNetworkキャンペーンでリアルタイムに最適化することができません。

ImgSKAdNetworkを最大限活用するには、広告主とマーケターは最初の24時間を重要視し、あらゆるデータを活用してユーザー行動の全体像をはっきりさせる必要があります。最初の24時間以内に発生するユーザー行動を紐解くことで、獲得しているユーザーの質を正確に予測・評価できるconversion valueを設定できます。このデータは最初の24時間以内にしか収集できないため、アプリ開発者は、この最初の24時間以内に可能な限りユーザーにエンゲージしなければなりません。これにより、長期間にわたって高いパフォーマンスをもたらすユーザーについて理解し、引き続き同様のユーザーをターゲティングして獲得することができます。

第4章:iOS 14.5以降のアトリビューション

では、AppTrackingTransparency frameworkでは、マーケターはiOSのどのアトリビューションオプションを選ぶことでアプリを成長させられるのでしょうか?

iOS 14.5以降のアトリビューションには、SKAdNetwork、確定的アトリビューション、確率的アトリビューションの3つのオプションがあります。マーケターは、アプリのニーズに合わせて最適な方法を組み合わせることができます。Adjustはこれらすべての方法をサポートしており、特定のアプリに最も効果的な方法をアドバイスします。

ユーザーがIDFAの共有に同意した場合、広告主にとって最も正確性の高いオプションは確定的アトリビューションとなります。しかし、オプトイン率のことを考えると、広告主はSKAdNetworkも使用しなければなりません。SKAdNetworkには限界がある一方で、集約されたインストールのラストクリックアトリビューションにおいては高精度であると考えられます。Adjustでは、これら3つのアトリビューション法すべてを使用することは非常に複雑な作業であると同時に、多くの機会をもたらしてくれると考えています。

確率的アトリビューションとは

確率的アトリビューションは、IDやデバイスマッチング(確定的アトリビューション)ではなく、確率に基づいたアトリビューションの一種です。確率的アトリビューションでは、Appleのガイドラインに準拠しつつ、機械学習と統計モデリング技術によって高い確率でコンバージョンを特定します。

確率的マッチングは、Adjustが2番目に使用するアトリビューション法です。Adjustはデバイス情報を利用して、一致する特性を持つクリックやインプレッションにインストールをアトリビュートします。モバイル計測プロバイダー(MMP)であるAdjustは、サイトやアプリを横断するユーザーのトラッキングやターゲティングは行いません。Adjustが目指すのは、ある程度の確実性をもってインストールをエンゲージメントにアトリビュートすることのみです。インストールの80%がクリック後の最初の1時間内に発生することから、このタイプのアトリビューションは永続的なIDを必要としません。Adjustは、数時間以内に無効になる一時的なデータ(クリック時間、インストール時間、基本的なデバイス情報など)を使用して予測を立てることができます。

確率的アトリビューションはSKAdNetworkの代わりになるものではなく、SKAdNetworkほどの精度はありませんが、キャンペーンを実施しているすべての広告主にとって、本当の意味でのメリットをもたらします。確率的アトリビューションにより、マーケターはクリエイティブに関するデータをより深く把握でき、これによりクリエイティブの分析、メディア費用に関する効率モデルの構築、ROIの向上を実現できます。ところが、アトリビューション法を組み合わせると、アトリビューションの重複という問題が発生する恐れがあります。

アトリビューションの重複とは

アトリビューションの重複は、広告主が確定的アトリビューションとSKAdNetworkの両方をサポートするネットワークに広告を掲載する際に発生する問題であり、結果として広告主は同じユーザーに対する広告費を2回支払うことになります。アトリビューションの重複はどのように発生するのでしょうか?

たとえば、SKAdNetworkでないキャンペーンを実施しているとします。もしパブリッシャーのアプリと自社のアプリの両方で同意したユーザーがいる場合、そのチャネルはIDFAを使用してユーザーをトラッキングします。しかし、ユーザーは過去30日間に別のメディアソースのSKAdNetwork広告をクリック(または閲覧)しているため、SKAdNetworkはそのインストールにクレジットを付与することになります。SKAdNetworkインストールは集計データとして提供されるため、アトリビューションの重複を排除することはできません。

詳細は、iOS 14.5以降のアトリビューションの重複を回避するための方法を解説したブログ記事をご覧ください。

まとめ

iOS 14.5で導入された変更が、成熟するモバイルマーケティングエコシステムの転換点となる中、当初多くの人が予想したほどの大きな影響はないと言えます。成長を目指すアプリにとって、広告とユーザー獲得(UA)は引き続き欠かせない要素です。ユーザープライバシーを保護してAppleのガイドラインに準拠しつつ、変化に素早く対応できるマーケターこそが新しいマーケティングの世界で成功を収めることができるでしょう。

このことを念頭におきながら、Adjustはマーケティングが今後も高精度のデータを活用できるようにするための、多角的なアプローチを開発しました。これには、ATT frameworkのフルサポート、包括的なSKAdNetworkソリューション、さらに、確定的アトリビューションとSKAdNetworkのギャップを埋めるAdjust独自のconversion valueモデリングソリューションが含まれます。

iOS 14.5以降の最新情報や新機能を確認したい場合、またはアプリやビジネスのニーズに合わせたアドバイスをご希望の際は、こちらまでお問い合わせください。Adjustのソリューションを実際にお試しいただくこともできます。iOS 14.5+関連のすべてのガイドとその他の情報にアクセスするには、リソースセンターをご覧ください。

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