ブログ ChatGPTが2023年のモバイルアプリマーケティングに与える影響

ChatGPTが2023年のモバイルアプリマーケティングに与える影響

競争が激化し、進化を続けるモバイルマーケティング業界では、いかに競合と差をつけるかがアプリ開発者やマーケターにとっての重要課題です。これを達成するための方法として最も期待が寄せられているものの1つが、ChatGPTをはじめとする生成型人工知能(AI)です。この強力な最新ツールは、アプリ機能のアイデア着想やコード開発、アプリストア最適化(ASO)、コンテンツ作成など、さまざまな用途で活用できます。この記事では、ChatGPTを使って魅力的なアプリを構築し、マーケティングキャンペーンを強化する方法を紹介します。

ChatGPTとは

ChatGPTは、OpenAIが2022年11月に公開したAIチャットボットです。このチャットボットはOpenAIの大規模言語モデル「GPT-3」がベースになっており、教師データを使用した学習と強化学習を組み合わせてきめ細かくファインチューニングされています。中でも画期的なのが、人間のような会話を生成するように設計されていることです。ChatGPTは、高度なコンピューティング技術と膨大なデータを用いて言葉を正確に予測し、言葉をつなぎ合わせて意味のある文章を作り、多様な語彙や情報にアクセスして、文脈に沿って言葉を理解することができます。また、ChatGPTには、同じ会話で以前のプロンプトに言及するという特徴的な機能があります。汎用性も高く、以下のような多岐にわたるタスクを実行できます。

  • コンピュータープログラムを書く、デバッグする
  • 文章を要約し、重要なポイントをまとめる
  • ブレインストーミングして新しいアイデアを出す
  • 複雑なトピックを説明する
  • 文章からデータを抽出する
  • 感情分析をする
  • 作曲する
  • 物語・詩・歌詞・小論文を書く

アプリマーケティングにChatGPTを使用するメリット

  • 効率向上: ChatGPTを使用すれば、ソーシャルメディアの投稿の生成、ブログ記事の執筆、顧客からの問い合わせ対応など、多くのマーケティングタスクを自動化できます。こうして業務を簡素化した分、マーケティングチームは戦略構築や分析などのレベルの高いタスクに集中することが可能になります。
  • パーソナライゼーション: パーソナライズされたおすすめ商品情報や、カスタマイズされたEメールマーケティングキャンペーンなど、一人ひとりの顧客に合ったマーケティングメッセージを作成するのに使用できます。
  • ブレインストーム: 新しいアイデアを生み出し、消費者行動に対する新鮮な物の見方を教えてくれるChatGPTの機能は、マーケティングチームが既成概念にとらわれることなく、創造的なマーケティング戦略を構築するのに役立ちます。
  • 迅速な分析: 文章からのデータ抽出・分析が可能なChatGPTを使用すれば、ターゲットオーディエンスの傾向やインサイトを容易に把握できます。

アプリマーケティングにChatGPTを使用する前に覚えておきたいこと

  • 不正確な情報や偏った情報を提供する可能性: ChatGPTは、もっともらしく聞こえるものの、正確でなかったり、見方の偏った無意味な回答を生成することがあります。誤った情報を鵜呑みにしないように、情報の妥当性を検証し、コンテンツが正確かつ最新であるかどうかを確認することが大切です。
  • 変化に敏感: このモデルは、入力プロンプトの言い回しの微妙な変化や、同じプロンプトが複数回繰り返されることに敏感です。また、特定のフレーズを過度に使用することも多々あります。
  • オリジナリティと一貫した品質が不足: ChatGPTは、文脈の理解、オリジナリティ、自然な言葉遣いという点で、まだ発展途上にあります。通常、得られる回答の質は質問の質に左右されます。

モバイルアプリのアイデア構築にChatGPTを使用する方法

モバイルアプリのアイデアを生み出し、開発するのは、複雑で難しいプロセスです。しかし、ChatGPTを使えばこのプロセスをより簡単かつ効率的に行うことができるかもしれません。ここでは、フィンテックアプリのアイデアを考え、そのマーケティングキャンペーンを作成する場合を例として見てみましょう。手順は以下のとおりです。

市場調査

ユーザーの共感を得られる、優れたモバイルアプリを構築するには、必ず市場調査から始めましょう。ターゲットオーディエンスとそのニーズ、そして競合がどのような製品やサービスを提供しているかを理解する必要があります。ChatGPTには、アプリカテゴリーに関するトレンド、主要プレイヤー、市場シェア、課題、新たに発展する分野などを質問することができます。

筆者がChatGPTに「フィンテックモバイルアプリ業界の主要なトレンド、課題、新たに発展する分野は何ですか?」という質問をしたところ、それぞれ4つのポイントが返ってきました。トレンドについては、デジタルウォレット、AI・機械学習、オープンバンキング、仮想通貨などに言及し、課題としてはセキュリティ、規制遵守、データプライバシー、消費者の信頼を得ることの重要性について触れています。新たに発展する分野に対する回答は、組込型金融、サステナビリティ、デジタルアイデンティティ、ネオバンキングでした。

競合分析

モバイルアプリのアイデアを生み出すプロセスにおいて重要なステップの1つが競合分析です。これには、開発中のアプリと似ている既存のアプリの長所と短所を特定し、評価する必要があります。この分析により、市場やユーザーの好みに関する貴重なインサイトが得られます。

筆者がChatGPTに「節約アプリ市場で競合となる主要プレイヤーはどのアプリですか?そのアプリの長所と短所は何ですか?」と質問したところ、ChatGPTは人気の予算管理・投資アプリ5つをリストアップし、それぞれの長所と短所を教えてくれました。

機能のコンセプト作り

予算を計画するにあたって、アプリに必要な機能を見極める必要があります。ChatGPTは、導入可能な機能を検討し、新機能のインスピレーションを得るための役立つツールになります。長い目で見れば時間と費用の節約につながり、結果的にアプリを成功に導くことが可能です。

「ゲーム要素を取り入れた節約アプリを開発中です。どのような機能を取り入れるべきですか?」と質問したところ、AIからは、節約目標、リワード、チャレンジ、ソーシャル機能、パーソナライゼーション、参考リソースなどの機能を検討してみては、との回答がありました。

アプリの命名

ユーザーの記憶に残る名前をアプリにつけるために、ChatGPTを使用してブレインストーミングすることもできます。

筆者が「ゲーム要素を取り入れた節約アプリの名前を10個考えてください」とプロンプト入力したところ、

「Save Quest」「Thrifty Hero」「Wize Wallet」など、本当に存在しそうなキャッチーな名前が提案されました。

モバイルアプリ開発にChatGPTを使用する方法

無料で使用できるChatGPTの最先端技術を駆使してアプリを構築してみませんか?ChatGPTの機械学習技術はコーディングにも対応しています。現時点で簡単なリクエストが中心ですが、今後さらに複雑なコードが書けるようになるでしょう。NewScientistによると、ChatGPTはコードのバグを素早く見つけて修正できるため、アプリ開発者は貴重な時間を節約することができます。

ChatGPTが対応するプログラミング言語

  • Java

  • Python

  • JavaScript

  • C++

  • C#

  • PHP

  • Go

  • Ruby

  • R

モバイルマーケティングを強化するためのChatGPTの5つの活用方法

モバイルアプリマーケターは、ChatGPTを使ってキャンペーンパフォーマンスを向上させることができます。ここでは、ChatGPTの5つの活用方法を紹介します:

  1. オーディエンス調査

オーディエンス調査は、マーケターがアプリに適したオーディエンスを特定・理解し、ターゲットを絞り込むのに役立ちます。対象のオーディエンスに合わせてマーケティングメッセージをカスタマイズし、ユーザー獲得の効果を高めることが重要です。

ChatGPTに「ゲーム要素を取り入れた節約アプリのターゲットオーディエンス(主要なユーザー層など)を教えてください」と質問すると、次の回答が返ってきました。

アプリに対して、複数のターゲットのペルソナを設定することもできます。

以下は、「ゲーム要素を取り入れた節約アプリの顧客ペルソナを複数挙げてください」という質問への回答です。

  1. チャネルの選択

ChatGPTは、ターゲットオーディエンスにリーチできるチャネルを特定し、アプリを宣伝するための便利なツールです。

「ターゲットオーディエンスにリーチして私のアプリを宣伝するには、どのチャネルを使用したらいいですか?」という質問への回答をご覧ください。

  1. アプリストアの説明文

ChatGPTは、キーワードやメタデータの最適化、ローカリゼーションなど、さまざまな方法でASOを大幅に改善することができます。ChatGPTで効果的なアプリ説明文を素早く作成することで、より自信を持ってアプリを公開できるようになります。

ここでは、アプリストアの説明文に関してChatGPTに次の質問をしました:「ゲーム要素を取り入れた節約アプリの、魅力的なアプリストア説明文を5パターン作成してください。このアプリは、ユーザーがゲームプレイを通して家計管理について学び、自分の出費を把握できるようにするものです。ユーザーは節約目標を設定し、自分自身へのチャレンジを作成することができます。目標額を達成出来た場合、またはチャレンジをクリアできた場合は、ユーザーにリワードが付与されます。また、ユーザーはアプリのコミュニティで、目標の達成状況や節約のコツなどを共有できます。」

  1. SEOキーワードを調査

ChatGPTは、検索ボリュームや競合他社などの要因を踏まえて、アプリに最適なキーワードの選定をサポートすることも可能です。

例として挙げているアプリのキーワードを調査するために、ChatGPTに次の質問をしました。「ゲーム要素を取り入れた節約アプリと関連性のあるキーワードのリストを作成してください。このアプリは、ユーザーが家計管理について学べるようサポートすることに重点を置いています。機能としては、カスタマイズ可能な節約目標やゲームチャレンジ、目標を達成した際のリワード、スコアボード、節約のコツを共有できるコミュニティセクションなどがあります。」

ChatGPTが回答したキーワードは次のとおりです:

  1. コンテンツ作成

コンテンツ作成におけるChatGPTの活用方法の1つは、トピック案を尋ねることです。一般的なアイデアや特定のキーワードを与えると、関連するトピックのリストを生成してくれるため、その中から適切なものを探すことができます。これは、新しいコンテンツのアイデアを考え、次のブログ投稿、記事、またはビデオのインスピレーションを得るのにぴったりの方法です。

また、ChatGPTはコンテンツ自体を作り出すこともでき、トピックの見出し、冒頭部分、段落全体の執筆をサポートします。必ずしも質の高い、完璧なコンテンツを生成してくれるわけではありませんが、自分で書く文章の土台として使えば時間と労力を節約できます。

筆者は、ChatGPTに次の質問をしました:「景気低迷時にお金を節約する方法についてのブログ記事のテーマを5つ考えてください」

ChatGPTが提案したテーマのうち1つを元にブログ記事を作成するべく、次のプロンプトを入力しました:「『不況に備える:ファイナンシャルセーフティーネットの構築方法』というタイトルでブログ記事を作成してください。このブログ記事は、緊急予備資金の用意や借金の返済など、経済的なセーフティネットを構築し、不況の影響に備えるためのアドバイスを提供するものです。」

ChatGPTを使用する上でのベストプラクティス

プロンプトをファインチューニングする

ChatGPTから得られる回答の質は、質問する側のプロンプトの質によって決まります。プロンプトを入力する前に、その内容が明確かつ具体的であることを確認してください。明確でなければ、焦点の定まった、簡潔な文章になるまで推敲しましょう。こうすることで、ChatGPTが文脈をより理解できるようになります。

複数のプロンプトをテストする

ChatGPTは、さまざまなプロンプトに基づいた回答を生成することができます。つまり、複数のプロンプトを試し、一番効果的なものを確認することが可能だということです。文章の構成やキーワード、具体性の度合いを変えて、どうやったら最も役立つ回答が得られるかをテストしましょう。

より多くの文脈を与える

ChatGPTは、プロンプトの文脈に基づいて回答を生成することができます。そのため、プロンプトにできるだけ多くの文脈を含めることが重要です。これには、当該トピック、対象オーディエンス、目標とする結果についての関連情報が該当します。ChatGPTにより多くの文脈を与えることで、適切で役に立つ回答を得られる可能性が高まります。

フィードバックをする

学習型モデルであるChatGPTには、フィードバックに基づいて回答を改善する能力があります。受け取った回答が正確でない、または適切でないと感じたら、システムにフィードバックを送信しましょう。これにより、ChatGPTは失敗から学び、今後より良い回答をするための改善に役立てることができます。

ChatGPTを他のツールやテクニックと組み合わせる

ChatGPTは強力なツールですが、マーケティングに使える便利なツールは他にもあります。最良の結果を得るために、他のツールやテクニックと組み合わせて使うことを検討しましょう。例えば、ChatGPTでコンテンツのアイデアを生み出し、コンテンツ分析ツールでさらに絞り込むといった使い方ができます。

ChatGPTをモバイルアプリに実装するべき5つの理由

ChatGPTの機能をアプリで活用すれば、ユーザー体験が向上するとともに、時間とコストの削減が可能になります。モバイルアプリに実装することで得られるメリットについて考えてみましょう。

  1. 高度なチャットボット: ChatGPTは、自然言語処理(NPL)を用いて会話型インターフェース(CI)を提供し、ユーザーのニーズを判断して、チャット、音声、およびメニュー、画像、ビデオなどのNPL要素を通してユーザーと対話します。ChatGPTはNPLによってユーザーが日常的に使う言葉を理解し、適切な回答をすることで優れたチャットボットを実現します。
  2. カスタマーサポート: 複雑な問題や複数のトピックにまたがる問い合わせ内容など、ユーザーからのよくある質問をAIモデルに回答させ、問題解決のサポートに活用しましょう。これにより、顧客に迅速なカスタマーサポートを提供しながらリソースを大幅に節約することができます。
  3. パーソナライズされた体験: ユーザーの好みを素早く学習することで、チャットボットはユーザーに合わせた回答を提供したり、レコメンデーションエンジンを活用して、ユーザーの過去のアプリ内アクションに基づいた特定の提案をしたりできます。
  4. 言語翻訳: 多言語アプリの場合、ChatGPTを使用して、テキストをある言語から別の言語へ翻訳することができます。便利な機能ですが、その性能はまだ初期段階にあるため、現時点では簡単な内容のテキストにのみ使用し、複雑な内容には使用しないようにしましょう。
  5. 検索機能の強化: ChatGPTをアプリに実装すると、外部ソースやデータベースからの情報によって検索機能が強化されます。

ChatGPTをモバイルアプリに実装する方法

ChatGPTを早速アプリに取り入れたいとお考えですか?以下の3つのステップでChatGPTをアプリに実装することができます。

  1. アカウントを設定し、GPT-3アプリへのアクセスを提供するGPT-3 API キーを取得します。
  2. ユーザーの会話パスを定義し、GPTを使用してスクリプトを書きます。
  3. より正確で適切な回答を得るために、ビジネスに特化したデータを使ってモデルをトレーニングします。

ChatGPTとその他AIを活用した今後のアプリマーケティング

ChatGPTは、人間さながらの回答を生成する高度な能力で私たちを驚かせていますが、今後開発が進み、さらに性能が向上する可能性を秘めています。より多様かつ広範なデータトレーニングを経て、さらに自然な回答を生成し、さまざまな文脈に適切に対応できるようになることが期待されます。

ChatGPT3が広告・マーケティング業界に与える潜在的な影響は甚大です。ChatGPTは、ユーザー獲得の強化、コンバージョンの増加、継続率の向上、収益の最大化を可能にする新しい方法をマーケターに提供し、アプリマーケティングに変革をもたらします。また、データ分析によってユーザーの好みや行動パターンを把握することで、高度なターゲティングキャンペーンを作成し、適切なユーザーに適切なタイミングでリーチすることができます。さらに、ユーザーにアプリを使用し続けてもらうため、このデータを活用してパーソナライズされたおすすめ情報や通知を提供することも可能です。

ChatGPTはまだリリースされて間もないサービスであり、今後さらに高度で革新的なAIマーケティングツールが登場すると予想されています。例えば、生産性向上・メモアプリのNotionはChatGPTのリリース後、自社サービスにAIを導入しました。GoogleもChatGPTに直接対抗すべく、新しいAIチャットボットツールBardの公開を開始しています。今後生成型AIチャットボットがどのように他と差別化を図り、モバイルアプリマーケティング業界にどのような進展と影響を与えるのか、引き続き注視していく必要があります。

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