ブログ ゲームアプリのための9つのユーザー獲得戦略

ゲームアプリのための9つのユーザー獲得戦略

世界のゲーム市場に占めるモバイルゲームのシェアが、2019年に60%と過去最高を記録しました。モバイルの1日あたり平均使用時間も18年比で40分増加し3時間40分となり、今後の同市場の成長が予測されます。

モバイルゲームの開発者にとっては嬉しいニュースですが、競合他社ではなく自社のアプリをユーザーに選択してもらうためには、単に優れた製品を提供するだけでは不十分です。アプリストアにて新規アプリが次々とリリースされる中、自社のアプリマーケティングを成功させるには、きめ細かいユーザー獲得 (User Acquisition) 戦略が必要です。高い価値をもたらすユーザーを惹きつけ、その興味をより長く継続させるにはどうしたらよいでしょうか。この記事では、ユーザー獲得の定義と、ゲームアプリのためのユーザー獲得戦略を解説します。

ユーザー獲得とは

「ユーザー獲得」とは、新規ユーザーをアプリに取り込むことです。これは全てのアプリ共通の戦略で、アプリに対するユーザーの関心を高め、最終的にインストールへと誘導するものです。アプリに適したキャンペーンを展開するために、マーケターは複数の広告配信先を選択します。どのチャネルが適しているかは、アプリの特性や対象とするユーザー、ユーザーに実行して欲しいアクションなどによって決まります。

モバイルゲームにおけるユーザー獲得戦略を計画するには、ユーザーに効果的に訴求するメッセージの伝え方から、広告費を守るのに不可欠なアドフラウド防止ツールについて理解することまで、広範囲な知識が要求されます。

ユーザー獲得が重要な理由

アプリ計測のデータを活用することで、ユーザーにアプリをインストールしてもらえるよう誘導し、アプリ内収益やエンゲージメントを大幅に増やしながら、より大きなアプリコミュニティを構築できます。そして、ユーザーがアプリに求めることや、アプリに最も高い価値をもたらすユーザー、投資収益率 (ROI) を高める方法などを分析しましょう。推測による判断ではなく、データに基づいた全体的な戦略から最善の結果を導き出すことが可能になります。

ゲームアプリのためのユーザー獲得戦略

1. ユーザーのデモグラフィック属性を把握する

広告のユーザー獲得チャネルは、ゲームを宣伝してユーザーのインストールを促します。Facebook広告Apple Search AdsGoogleの UACなどが主要ですが、これらを利用する場合、アプリに適したターゲットオーディエンスを定義することが大切です。ターゲットが定義できたら、利用地域や年齢、性別などのデモグラフィック(人口統計学的属性)情報に基づいて、利用する広告配信先を選択しましょう。また、異なるデモグラフィックや特定の属性を持つグループをセグメント化して、長期的にどのユーザーがアプリに最も高い価値をもたらすかを分析することも有効です。新しいアプリを立ち上げる際は、セグメント分析によりターゲットとなる新たなデモグラフィックが見つかったり、今後ターゲットから外したい対象を特定できたりなど、貴重な見解を得ることができます。

2. アプリストア最適化を図る

アプリストア最適化 (App Store Optimization) は、モバイルゲームにユーザーを取り込むための極めて有益でコストパフォーマンスに優れた方法です。モバイルWebのSEOと同様に、アプリストアにてランクの高いアプリとして紹介されるよう最適化します。ストアのランキングの仕組みをよく理解し、その基準に従ってユーザーの関心を引くクリエイティブを作成することが大切です。

ASOを適切に実施すると、キャンペーン費用をかけることなく価値の高いユーザーを獲得できる可能性があります。ストアランキングを向上させるには、次の点を考慮してください。

  • アプリ名にキーワードを使用する
  • アプリの説明文の中でキーワードを使用する
  • コンテンツをローカライズする
  • 最適なプライマリ、セカンダリのカテゴリー名を選択する
  • 関心や興味を引くスクリーンショットを使用して、ユーザー体験を伝える

また、ストアに掲載するアプリの紹介内容は、リリース時だけではなく定期的に更新しましょう。アプリの説明文の修正からクリエイティブの活用、アプリのテーマを季節やイベントに合わせて調整するといった最適化も有効があります。

3. SNSと連携

昨年、世界のインターネットユーザーは、毎日ソーシャルメディアに平均136分を費やしていることが分かりました。SNSをモバイルゲームと連携させることで、ユーザーはSNSを通じてゲーム内のアクティビティ(ゲームの達成状況など)を容易に共有できるようになります。

SNS上にある世界で最も活発なオンラインコミュニティでは、アプリが無料で注目を得られるチャンスがあることに加えて、SNSはアプリ利用者のコミュニティを構築し継続率を高めることにも貢献します。ユーザーはフィードバックを簡単に送信でき、ゲームをより楽しむための情報を共有できます。

4. 動画広告でビジュアルをアピール

ゲームダウンロード前のユーザーには、最大限に興味を掻き立てるユーザー体験を伝えることが重要です。バナーやインタースティシャルといった広告形式よりも、動画広告はユーザー獲得単価が高額になるかも知れませんが、購入前にアプリの魅力をアピールできる優れた方法です。

モバイルゲームの動画広告を作成する場合、できる限り素早くメッセージを伝えることが重要です。これは、ユーザーが広告に興味があるかどうかを判断する時間が非常に短いためです。SnapchatのDRクリエイティブ戦略部門責任者のトム・ベイツ氏によると、あらゆるブランドの広告が消費者に与えるインパクトの65%は最初の2秒間に発生すると述べています。同氏は、AdjustのMobile Spreeカンファレンスにおいて、自社のクリエイティブが機能するかどうかを導入前にテストするには、動画を2秒間に短縮することを提唱しています。「広告を誰かに見せた時に、それが誰を対象にした広告で、広告を見てどう反応すべきか認識してもらえるか確認しましょう。広告の目的が説明できないようなら、そのクリエイティブは効果を発揮しません。」

5. プレイアブル広告でインストールを促進

動画広告はゲームの見た目や感覚を伝える優れた手段ですが、購入前にそのゲームを試しにプレイできることには敵いません。プレイアブル広告はユーザーにゲームを体験してもらえる広告フォーマットで、ゲームの特定の箇所だけをプレイできるバージョンを共有します。一定時間が経過すると、ユーザーはゲーム全体をインストールするように促す通知を受け取ります。

プレイアブル広告は、マーケターにとって絶好の機会をもたらします。アメリカのマーケティング担当者によると、クリエイティブとしてのプレイアブル広告はゲーム業界で最も人気が高く、最も効果が高いアプリ内広告の形式です(その次に、インタラクティブ広告と動画リワード広告が続きます)。

6. 動画リワード広告を設定する

ユーザーに「時間を割いてでもやりたい」と思わせるような製品のゲーミフィケーションを活用する別の広告形式として、動画リワード広告があります。ユーザーは広告を視聴すると、ゲーム内の通貨やライフ値の追加などの「リワード(報酬)」を受け取ることができます。こうした広告はオプトイン方式であり、ユーザー自身が広告接触をより自由にコントロールできるため、継続率も向上します。

このタイプの広告は、企業の収益率向上にもメリットをもたらします。動画広告ネットワークのUnity Adsは、動画リワード広告を「最も成果を生み出す手法」と見ています。またOpenXの調査では、販売業者から割引を受けられるのであれば、ユーザーの77%が30秒間の広告を見ると回答していることが分かりました。ゲームに合った広告形式を選択するには、ターゲットとする対象のオーディエンスについて熟慮することが重要です。広告形式やその仕組み、さらにその特長に関する詳細は、こちらのブログをご覧下さい。

7. クロスプロモーション

複数のゲームアプリを展開している場合は、それぞれにアプリ内広告を導入してクロスプロモーションを行うのが有効です。費用対効果に優れているだけでなく(広告主であり同時にパブリッシャーであるため)、単独にプロモーションをした時には得られないデータを得ることができます。

8. マーケティングオートメーションツールを活用

マーケティングのオートメーション(自動化)ツールを使用することで、マーケターの煩雑な作業や負担を軽減することができます。Adjustのクライアントサクセス米国担当ディレクターであるメリッサ・コールマンは、この業界全体の大きな変化について、次のように説明しています。「現在、マーケティングマネージャーは数十もの広告配信チャネルに対応し、散在するデータを統合するためにツールを切り替えながら使用しなければなりません」。そのため、「繰り返しの単純作業を自動化する機能を備えた、マーケターの働き方を変える新たなマーケティング自動化ツールに大きな期待が寄せられています」。全ての市場のマーケティング担当者にとって、自動化すべき作業とマーケターが行う作業(データ分析や戦略など)を区別することが重要です。

9. モバイルアドフラウドから広告費を守る

モバイルアドフラウドは、アプリ市場全体における重大な課題です。広告費を盗み取る不正業者の手口はさまざまであり、それがどのような仕組みになっているか、またデータの信頼性を維持するために何が必要かを理解することが大切です。

マーケター担当者なら知っておきたいモバイル広告不正のタイプは、クリックスパム、クリックインジェクション、そしてSDK スプーフィングの3つです。Adjustのグローバルベンチマークレポートによると、2019年の第4四半期に検出されたアドフラウドの割合は次の通りです。

  • フェイクユーザー/ボット 12.08%
  • SDKスプーフィング 13.32%
  • クリックインジェクション 37.21%
  • クリックスパム 36.95%

このようなアドフラウドが与える影響は大きく2つあります。1つ目は、広告費が不正業者に渡ること、2つ目は、不正により歪んだデータに基づいてユーザー獲得戦略が策定されることです。これによって、不正業者がマーケティング予算を奪い取っている配信先により多くの予算を投入してしまうという悪循環が発生します。それこそが、アドフラウドをしっかり防止してくれるアプリ計測ツールを導入する重要な理由です。

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