iOS 14で正確なレポーティングと分析を行うには
Paul H. Müller, Key Advisor to the CEO, Adjust, 2021年5月22日.
AppleがAppTracking Transparencyのルールを発表して以来、これが今後業界に与える影響について、開発者やアプリマーケターがさまざまな予測をしています。すでに初期の影響が見られますが、長期的なことについてはまだよくわかっていません。
この1年で、Adjustは多くの広告主やアドネットワークの皆様と、アプリマーケティングのエコシステムがどう変化していくかを協議してきました。本稿は、iOS 14に関連するさまざまな課題の理解にお役立ていただくために公開してきたブログシリーズの最新版です。
前回のブログでは、アトリビューションの重複と広告成果の二重請求について取り上げました。今回は、レポーティングとアナリティクスについて見ていきます。
iOS 14のアナリティクスを最大限に活用
IDFAの共有を許可するユーザーが減少していく中、SKAdNetworkが提供する限定されたデータと計測期間で、どのようにキャンペーンパフォーマンスを分析できるでしょうか?広告主は、アナリティクスに関するすべての選択肢をしっかり理解し、自社に何が適しているかを判断できるようにすることが重要です。
ここでは、iOS 14のデータを分析するための一般的な選択肢と、それらがどのように連動するかを解説し、マーケターを支援するAdjustのソリューションについて紹介します。
SKAdNetworkのみを使用
Adjustでは、データを視覚化するための新機能「データキャンバス」と「Adjust Automate」によるSKAdNetworkの完全サポートを提供しています。
Appleは2018年にSKAdNetworkを導入し、ユーザーレベルのデータを取得しない形でキャンペーン計測を行う、これまでとは異なるアプローチを先駆けて行いました。iOS14のリリースに伴い、SKAdNetwork frameworkの開発と普及が拡大されました。このAppleの試みは、IDFAへのアクセスが制限されることで生じる影響を減らすことを目的としています。
SKAdNetworkは、24時間のタイマーとともに下流の指標の6ビットで構成された情報を提供します。6ビットとは、10進法の0〜63の数値です(または2進法の000000〜111111の数値)。この「conversion value(コンバージョン値)」には、2進法で表現可能なあらゆる値を割り当てることができます。Conversion valueがアプリ内で定義された6ビットのコードに更新されるたびに、タイマーの期間がさらに24時間延長される仕組みです。
最初のconversion value期間のタイマーが切れると、アトリビューションの次の24時間タイマーが開始されます。SKAdNetworkは、この24時間内にランダムにアトリビューションデータを返します。このランダムなタイマーを使用してインストールの時間を不明瞭にすることで、イベントの発火が個人ユーザーに紐付けされないようにしているのです。SKAdNetworkのシステムでは、このデータを集計してから共有するため、粒度が細かいユーザーレベルのデータは取得できません。
SKAdNetworkのみを使用している場合は、新規ユーザーの分析がほとんど不可能です。コホートやROAS、LTVなどの指標に関しては、全く使用できないか、できたとしてもデータが正確でないため、パフォーマンスの分析が難しくなります。CPIで広告を配信するか、あるいは、ほとんどのユーザーが最初の24時間以内に関連するコンバージョンを発火するようなアプリであれば、SKAdNetworkだけでも十分に機能するかもしれません。
SKAdNetworkと拡張プライバシー計測
このアプローチでは、ネットワークパートナーがSKAdNetworkを完全にサポートすることで、SKAdNetworkが信頼できるデータソースとなり、iOS 14の計測が重複されることを防いで正確に広告成果の請求が行われるようにします。しかし、Adjustの拡張プライバシー計測ソリューションを活用することで、最適化できるようになります。SKAdNetworkのデータに加えて、Adjustではすべての広告主に実用的な分析データを提供します。
拡張プライバシー計測では、広告主自身が集計データとローデータの両方でキャンペーンパフォーマンスを分析し、アプリのユーザー体験を改善することが可能です。この手法では、SKAdNetworkデータと同意したユーザーの情報以外は、サードパーティーのチャネルと共有されません。
SKAdNetworkと確率的アトリビューション
上記のケースと同様に、確率的アトリビューションを使用している場合でも、SKAdNetworkがメディアパートナーの信頼できるデータソースとなり、アトリビューションの重複(広告成果を二重に請求すること)を回避します。確率的アトリビューションでは、広告主は拡張プライバシー計測と同様にコールバックを受け取り、メディアパートナーにもコールバックを送信します。メディアパートナーはキャンペーンのパフォーマンスを把握できるため、それに応じて最適化を行い、広告主に最善の結果をもたらします。
主な欠点は、これが確定的なアトリビューションではなく、最善の推測に過ぎないということです。つまり、SKAdNetworkのインストールと正確に一致するわけではありません。一部のケースでは、このアトリビューションの性質とアトリビューション期間の違いにより、非常に大きな乖離が生じることがあります。それでも、すべてのメディアチャネルに対し、オーディエンスに関するある程度の情報を提供するため、広告主のかわりにメディアチャネルはキャンペーンをプログラマティックに最適化できます。
ネットワークは確率的アトリビューションで最適化を行い、広告成果の請求目的ではSKAdNetworkのデータのみを使用するのが、Adjustとしては最良策だと考えます。これにより、前回のブログ記事で述べた請求の重複を防ぐことができます。
iOS14の導入に関してご不明な点がございましたら、お気軽に担当のカスタマーサクセスマネージャーまたはテクニカルアカウントマネージャーにお問い合わせください。また、iOS14のプライバシーに関する変更に備える方法については、Adjustブログでご確認いただくか、iOS 14リソースセンターもしくはSKAdNetworkリソースセンターをご確認ください。
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