アドウェイズのアプリマーケティングと広告運用
Tomoko Goto, Japanese Content Manager, adjust, 2021年9月30日.
アプリマーケティングの仕組みやテクノロジーは年々複雑化しており、広告の配信方法も多岐に渡ります。そのような中、業界の最新情報を基にアプリ広告の運用を代行する広告代理店は、アプリビジネスの成長をサポートするためのさまざまなサービスを提供しています。アプリ効果測定を行うAdjustも代理店と連携することで、広告主のアプリパフォーマンスの分析やリターゲティング施策、アドフラウド防止などに活用されています。
今回は、漫画やゲームを中心とする数多くのアプリ広告運用に携わっているアドウェイズの大副様、山浦様、渡辺様にインタビューし、現在のアプリマーケティングの傾向やアドウェイズが提供するアプリ広告運用について、事例を基に詳しくお伺いしました。
コンテンツに興味をもってもらうには、広告の見せ方が重要
ーー貴社が行うアプリ広告運用についてを教えてください。
大副様:弊社が特に強みとしているゲームとマンガアプリについてお話しします。ゲームアプリの場合、「事前登録」からゲームをリリースした後に行うプロモーションを予めプランニングし、アプリのステージごとに最適なメディアやターゲティング、クリエイティブなどをご提案させていただき、中長期でユーザーをしっかりと獲得できるような運用をさせていただいています。マンガアプリの場合は、各媒体が推奨する配信方法はもちろん考慮しますが、特に広告の見せ方を重視しています。よりコンテンツに興味を持ってもらう、という点を満たせるようなフォーマット、プロダクトなどを積極的に活用することで、獲得したユーザーをしっかりと定着させるお手伝いをさせていただいております。
ーーカテゴリー別、ジャンル別でお勧めの媒体はありますか?配信する媒体を選定する上での基準があればお聞かせください。
大副様:一般的に、獲得型のアプリ広告ではジャンルを問わずGoogleやFacebook、Twitterといったメガプラットフォームが中心となっているかと思いますが、弊社でも同様です。ボリュームが十分取れることに加え、機械学習による最適化の能力が高く、アプリ内のイベント最大化にも非常に有効です。これらのプラットフォームの学習に必要な配信ボリュームを確保して効率的に学習を進めさせることが、キャンペーン全体の広告効果を高めるうえでは最重要であると考えています。
そのほか、単一で多くのユーザーを抱えている独自の配信面を持つネットワークも重視しています。GoogleやFacebook等の外部配信ではカバーできない、そのメニューからしか出せない面を多く保持しているメディア様で、機械学習による最適化機能をアプリ広告向けに実装されているメディア様は新しいユーザー層の獲得につながることが多いため、積極的にチャレンジさせていただいております。
リードメディアアナリスト
山浦 崇様
クリエイティブ作成から配信、効果検証まで担当
ーー施策の成果を分析するためのステップについて教えてください。
山浦様:長期にわたって行います。例えばマンガアプリなら、実際の漫画のコマをクリエイティブにするケースが一般的なのですが、営業・運用チーム、クリエイティブチームの担当者全員が協力してラフ案を作り、配信してみます。そして効果の良し悪しを判断し、効果が良かった場合はどこが良かったのか、つまりクリエイティブの中をさらに分解していくことで、最終的に1番効果がいいものを一つひとつ丁寧に見つけ、フォーマットを作っていきます。
ーーその作業はすべて貴社がされるのですか?
山浦様:クライアント様からは漫画の素材と使用許可を頂き、レイアウトや配信、効果検証などは弊社にて行わせていただくケースが多いです。
弊社では、クリエイティブを大量に作るためのツールをさまざま用意しています。例えばフォーマットごとに文字を変えるだけで簡単に動画が作れるツールや、何秒の時点でユーザーが離脱し、ユーザーが平均して何秒ぐらい視聴してくれているかなどを分析できるツールもあります。
クリエイティブのどこが良くて、ユーザーがどんな反応しているのかという点を具体的に分析できているというのが、弊社の強みです。
ーーゲームアプリの場合は?
渡辺様:ゲーム内のイベントを扱うことが多いですが、イベントと定常のキャンペーンの差別化が必要です。既にアプリに流入しているユーザーと新規ユーザーは、アプリのフェーズにもよりますし、属性も異なります。
弊社で担当しているタイトルですと、たとえば、IP力の強いタイトルなら、そのIPを訴求した場合にはすでに流入したユーザーからの反応が高い傾向があります。あるいは、ゲームジャンルやアプリの要素を押し出したものや、IP力以外の部分で訴求したものは、新規ユーザーにも刺さったりします。よって、キャンペーンごとに効果を見るのが大切です。
リターゲティングのタイミングとiOS14.5以降のセグメント分けの変化
ーー新規アプリのリターゲティングキャンペーンは、リリース後、どのタイミングで開始していますか?
渡辺様:休眠復帰の配信が盛んになってきたのはここ数年かと思います。ゲームアプリが出始めたばかりの頃は、とにかくユーザー獲得重視でした。しかし、直近にリリースしたタイトルに関しては、早いタイトルだと翌月や翌々月から始めています。DAUを減らさないというところに重きを置いてリタゲを実施するクライアント様が多い印象です。
また、弊社の今までのリタゲ配信の結果から、離脱日数が長いとユーザーがアプリに戻ってきにくい点がわかっています。新規獲得よりも単価が上がってしまうので、そうならないように休眠復帰の施策をご提案しています。
大副様:早いものだと、配信を開始した月の後半だったり、クライアント様の要望が新規ユーザー獲得の場合は、獲得が鈍化する3ヶ月後ぐらいから開始することもあります。
弊社としては、DAUとアクティブユーザーの活性化を注視しています。ゲームであれば、イベントの時期は確実にユーザーが動きやすくかつ定着しやすいので、追加でリタゲを実施するようご提案をさせていただいています。
ーーリターゲティングキャンペーンを配信する上で、セグメントや離脱の日数などの条件設定、ターゲットの選定はどのようにしていますか?
大副様:クライアント様のフェーズにもよりますね。離脱日数に関しては、以前はどのアプリでも7日、14日、30日に分けられていることが多かったです。直近では、3日、7日などより短い期間の区分けになっています。離脱日数はかなり短く設定するようになりました。
「ユーザーが復帰したあとに再度定着する」ことが重要になってきますので、上記のような期間で実施させていただいた後、実際の配信結果を分析して改めて期間の調整や重点的に配信するセグメントをご提案させていただいております。
渡辺様:ただ、iOS 14.5の影響でIDFAが取得できない場合が多いので、セグメントを分け過ぎてしまうとオーディエンスの母数が減り、正確な配信ができないという状況もあります。
タイトルが大きければ、その分取得するIDFAも多いので最適化もしやすいですが、やはりDAUやMAUが低いタイトルですと、1つのオーディエンスのサイズを大きくするために、もう少しざっくりとした分け方をするようにしています。
例えば、課金ユーザーを占めるのがアプリ全体の数パーセントという場合は、本来なら課金と未課金に分けて、課金者を復帰させたいタイミングに課金者へのリーチを強化したいところですが、オーディエンスのサイズによっては難しくなっているのが現状です。
ーーAndroidにシフトしている傾向はありますか?
大副様:iOSでのボリュームが出づらくなっているので、結果的にAndroidが増えてしまうことはあります。しかし、Androidに予算を大幅に寄せるケースはあまり聞きません。
注目するKPIと媒体への予算配分
ーー注目されているKPIを教えてください。
大副様:新規でしたらCPI、ROAS、リテンションなどです。リテンションの場合、2日目や7日目の平均リテンション率で換算したCPIをKPIとして設定する場合もありますね。
渡辺様:CPAを注視するクライアント様もいますし、あるいはCPAをある程度抑えてROASを上げて欲しい、などのご要望もあります。
ーー予算配分についてですが、目安として、媒体にどれぐらいの予算を割り当てると効果的ですか?
大副様:アプリ広告では先程お話ししたメガプラットフォームでの効果が重要になってきますので、配信開始時にはこれらのメディアへ重点的に予算投下を行い、学習を促進させていきます。その後は、獲得効率に応じて各メディア様感で随時予算配分の移動を行いつつ、各メディア様が出されている新機能や新しい配置方法に一定のテスト予算を投じていくことを提案しています。各メディア様は新しいプロダクトのテストをしっかり繰り返されていますので、リリースに至った新プロダクトは効果がある程度期待でき、ものによっては今後の主力プロダクトになる可能性もあるため、予算配分を検討いただいています。
リードアドストラテジスト
渡辺 康平様
Adjustを活用して数値実績に基づく分析を
ーー媒体で配信されるキャンペーンにAdjustをどうご活用いただいているか教えてください。
渡辺様:どの訴求軸が質の高いユーザーを獲得できているかを確認する際に、Adjustを活用しています。新規と休眠ユーザーにそれぞれ効果的なクリエイティブを分析した上でその訴求軸を展開できるので、役立っています。
私が担当するタイトルの中で、新規獲得への予算が去年と比較して倍ほど増え、ROASが200%伸びたものがあります。ユーザー獲得がしっかりできていると分かった上で企画を展開していけば、お客様にとって有益なロイヤリティの高いユーザーが獲得できるのです。休眠に関しても、コストは横ばいでしたが、ROASが伸びていました。このような分析をする際にAdjustが活用できます。
ーークライアントにはどのように情報を共有していますか?
大副様:例えば、渡辺がお話ししましたクリエイティブの例では、「クリエイティブAは良くてBは悪い」だけではクライアント様にただしくお伝えできませんので、弊社側でAdjustのデータとメディア様のデータを合わせ、クリエイティブの画像を差し込んで提出しています。口頭で説明させていただく際にレポートもセットでお出しすることで、より正確に、双方の認識を合わせられるよう努めています。
ーー他におすすめのAdjust機能はありますか?
山浦様:オーディエンスビルダーと不正防止タブを多用しています。オーディエンスビルダーについては、先程のようなセグメントの機能を活用しています。
不正防止に関しては、不正が発生した場合にAdjustの「不正防止タブ」を見て、どのような不正が、どの媒体でどの程度起こっているのかというのが一目で分かります。これを基にメディア様への交渉や調整をしています。
また、マルチプラットフォームも非常に有効だと思います。他のモバイル計測プロバイダーとの差別化の一つにもなっていると思いますし、お客様からも便利で見やすいと好評です。
データ転送に関しても、取得したい項目を自由にカスタマイズでき、欲しい情報だけ自社サーバーに送信できるのは広告主にとって大きなメリットだと思います。レポーティングの見方も多岐にわたるので、いろんなデータをベースとしてユーザーの動きを見ることができるのは、いい活用法だと感じています。
シニアメディアアナリスト
大副 匠様
アドウェイズには媒体仕様の理解と支援ツール、サポートのノウハウが備わっている
ーー広告主はどういった観点から代理店を選定したらよいでしょうか?加えて、貴社のサービスを使用するメリットなども教えてください。
大副様:メディア様の機械学習技術は年々高度になっており、実際には何もしなくても効果が出るのじゃないか?誰が運用しても変わらないのではないか?と思われがちですが、機械学習には「癖」があります。わずかな調整に反応し効果が大きく変動したり、クリエイティブの入れ替え判断を正しく行わなければ配信ボリュームが急激にシュリンクしてしまう、などがよく起こる事例です。各メディア様の学習特性を正確に把握した上で、どこをどのように設定し、常に最高の状態を保てるように運用することが重要です。
そのため、メディア仕様の理解を深く正確に行えている代理店を選定することが、特に獲得型のアプリ広告ではポイントかと思います。
弊社では、運用者への通常のトレーニングや勉強会などの社内教育の他、運用を支援する独自の自社ツールの開発なども行い、すべての運用者がより高いクオリティでのサービスを提供できるよう努めております。
渡辺様:また、代理店にはサービスを提供するものに対しての情報が集約されています。弊社にはゲームであればジャンルごとの事例や情報が、マンガであれば様々なタイトルの事例や情報があり、多くの実績も持ち合わせております。
大副様:アドウェイズには積み重ねたサポートのノウハウがありますので、アプリ広告の運用でご質問や疑問がありましたら、お気軽にご相談ください。
ーー貴重なお話をありがとうございました。
アドウェイズ について
2001年設立。2006年に東証マザーズ、2020年に東証一部に上場。国内最大級のアフィリエイトサービス「JANet」「Smart-C」の運営をはじめ、スマ―トフォン向け広告配信サービス「AppDriver」や全自動マーケティングプラットフォーム「UNICORN」を展開する。また、アプリやコンテンツの企画・開発・運営など多彩な事業を展開。日本を始め、アジアを中心とした世界各国への海外展開も行なっている。
Adjustニュースレターに登録して、最新情報をいち早くご確認ください!