2023年のモバイルアドフラウド対策

アドフラウドは、モバイル広告主とマーケターにとってますます大きな懸念事項となっており、テクノロジーの発展に伴い、アドフラウドの手口も進化を続けています。2022年、広告主が受けたアドフラウドによる被害額は全世界で800億ドルを超え、2023年末には1,000億ドルを突破すると予想されています。景気低迷や世界的な不況の可能性を踏まえると、自社のマーケティング予算を守り、1ドルでも賢く使うための積極的な対策がこれまで以上に重要です。

アドフラウドに立ち向かうための方法の1つとして、Adjustのようなモバイル計測パートナー（MMP）との連携が挙げられます。追加機能である不正防止機能（Fraud Prevention Suite）に契約していない場合でも、Adjustのクライアントはアドフラウドを防止することができます。Adjustは、不正なインストールを検出して拒否するためのさまざまなツールを提供し、データセットをクリーンで歪みのない状態に保つことで信頼できる分析を実現します。これらのツールは、すべてのクライアントが自動的に利用できます。この記事では、Adjustのアナリティクスソリューションを使用して、クリックスパムの影響を受けたキャンペーンを最適化するためのベストプラクティスを紹介します。

クリックスパムは、不正業者がユーザーの同意なしに偽のクリックを生成し、アトリビューションを横取りする不正行為です。クリックスパムが放置され、キャンペーン内で発生し続けると、マーケティング予算を誤って配分してしまう可能性があります。なぜなら、キャンペーンの予算が、優れた結果をもたらしているように見える不正なソースに再投資されてしまうからです。また、クリックスパムの対策を怠ると、影響を受けたキャンペーンを効率的にモニタリングし、最適化することができなくなるおそれがあります。そのため、クリックスパムに対する予防策を講じることは、キャンペーンの効果を維持し、継続的にスケールするために不可欠と言えます。

クリックスパムはデータを歪め、リソースを無駄にします。この問題に対処するため、Adjustはすべてのクライアントが自動的に活用できる強力なツールを開発しました。Adjustの高度なレポート機能とアナリティクスダッシュボードにより、キャンペーンをリアルタイムでモニタリングし、不審なアクティビティを迅速に特定して、必要に応じて是正措置をとることができます。

2023年3月にAdjustが新たにリリースしたキャンペーンブロック機能では、クリック数やコンバージョン率に基づいて、不正行為が多く発生するキャンペーンを簡単に検出し、ブロックすることが可能になりました。クリックスパムによる攻撃では、短期間（多くの場合数時間以内）に偽のクリックが大量に発生します。そのため、不正防止機能が作動する前にデータが歪められ、キーパフォーマンス指標（KPI）に影響を及ぼす可能性があります。これを受けAdjustは、より積極的な対策を導入し、スパムを検知したらすぐにトラフィックを止められるようにしました。これにより、ブロックされたキャンペーンに関連する既存のエンゲージメントとアトリビューションを維持しながら、不正行為によってデータに歪みが生じるのを防ぐことができます。クリックスパムを防ぐには、アプリのトラフィックを注意深くモニタリングし、Adjustと連携して以下に挙げる対策を実施することを強くおすすめします。

次に紹介するベストプラクティスに沿って、影響を受けたキャンペーンを改善することができます。

キャンペーン構造とトラッカーの制限を最適化する

キャンペーン構造（キャンペーン/アドグループ/クリエイティブ）で自動的に粒度の高いレベルを作成し、AdjustのトラッカーURLを介してネットワークの対応するマクロでそれらを入力すれば、時間削減になると思えるかもしれません。しかし、これではトラフィックソースに関する信頼できるインサイトを得ることができないため、こうした構造は避ける必要があります。このような断片的な設定では、Adjustの不正フィルターの機能に影響を与える可能性があります。

この課題に対処するために、Adjustでは影響を受けたネットワークパートナーと協力して、「トラッカーの制限」を設定することができます。この制限はAdjustトラッカーURLに追加され、トラッカーごとにカスタマイズすることで、トラッカーの過剰な作成を検知することが可能です。制限数を超えると、すべてのトラフィックは自動的に「Unknown」トラッカーに記録されます。これは、継続的な不正防止モニタリングにおいて、特定のソースを調査するための警告として機能します。

ディストリビューションモデルは、Adjust不正防止機能の強力なツールです。このツールはクリックスパムを排除し、インストールが正確にアトリビューションされるようにします。Adjustは、ハイパーエンゲージメントとディストリビューション異常値の手法を用いることで、不正なクリックを識別・拒否します。これにより、広告主はターゲットオーディエンスにより簡単にリーチし、キャンペーンの効果を計測できるようになります。

1つ目の手法である「ハイパーエンゲージメント」は、発生頻度が高すぎるクリックや重複が多いクリックを排除するものです。不正業者は、アプリインストールの直前に「ラストクリック」を生成するため、ユーザーに代わってクリックを定期的な間隔で送信するという手口を使います。インストールが発生した後、Adjustは適切なアトリビューション期間内でアトリビューション対象となるすべてのクリックを確認します。頻度の高いクリックパターンを認識した場合は、それらをアトリビューションの対象から除外します。これにより、インストールがオーガニックトラフィックとして次の正当なクリックに正しくアトリビュートされるようになり、クリックスパムを排除することができます。

2つ目の手法である「ディストリビューション異常値」は、クリックからインストールまでの時間の分布を基にアトリビューションを拒否する、リアルタイムなフィルタリング手法です。Adjustは、統計データを見直して正当な行為と不正な行為を分析することでこの手法を開発しました。その結果、正当なトラフィックからのインストールの85%以上はクリックから1時間以内に発生することがわかりました。このように、正当なトラフィックが広告をクリックした時間とインストールを行った時間に強い相関関係があることを利用して、不正行為を特定することができます。クリックスパムは、オーガニックユーザーを横取りしたり、正当なソースからアトリビューションを盗み取ったりするため、CTIT（クリックからインストールまでの時間）の分布がアトリビューション期間全体に分散されます。そのため、Adjustはユーザーの強い意思を示すエンゲージメントを優先し、コンバージョンのほとんどがクリック発生時間から60分以上経過してから発生している場合は、クリックへのアトリビューションを拒否します。Adjustはこれらを「ディストリビューション異常値」として報告し、インストールは次の正当な計測ソースまたはオーガニックトラフィックにアトリビュートされます。

それだけではありません。非アクティブなキャンペーン、または一時停止中のキャンペーンのトラッカーが大規模なトラフィックを生成していることに気付いた場合、それらをブロックリストに追加してキャンペーンの計測を停止することができます。また、トラッカーに関連する現在のエンゲージメントやアトリビュートはそのままの状態で維持されるものの、それ以上の計測は行われません。トラッカーをダッシュボードで非表示にすることもできます。しかし、ライブトラッカーをブロックすることは、不正防止のフィルタリングの代わりにはならず、一時的な解決策にしかならない可能性があることを覚えておきましょう。そのため、クリックスパムの指標に対処し、具体的で透明性の高いキャンペーン構造を構築する際には、自社が求めていることをパートナーに理解してもらうことが極めて重要です。自ら不正に対する警戒心を持ってAdjustの積極的な不正対策を利用することで、クリックスパムを撃退し、データの正確性と信頼性を確保することができるのです。

Adjustは、アドフラウドとの闘いに熱心に取り組んでいます。Adjustがクライアントに提供する次世代ソリューションの詳細については、 モバイルフラウドガイドを ご覧ください。また、不正防止機能を備えたモバイルアナリティクススイートの使用を開始したい方は、今すぐお問い合わせください。